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#すずめの戸締まり 1巻 評論(ネタバレ注意)

新海誠監督作品の映画『すずめの戸締り』のコミカライズ。

こういうのって角川がやるもんだと思ってたんですけど、講談社のアフタヌーンコミックスから。

と思ったら、新海作品の前作『天気の子』のコミカライズも講談社からでした。

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てっきり角川だと思ってた。

『すずめの戸締り』『天気の子』ともに映画の製作委員会にKADOKAWAも入ってる(講談社は入ってない)し、小説版は角川文庫なのにね。

「変なの」とも思うけど、出版社同士だって敵味方ってわけじゃなし、まあそういうもんか。

『すずめの戸締まり』1巻より(新海誠/甘島伝記/講談社)

映画監督というのは好みのモチーフやシチュエーションの偏りが多かれ少なかれあるものですが、新海誠監督は「起きたら泣いてる」の好きね。

ちなみに『天気の子』は映画→コミカライズの順で楽しみましたけど、『すずめの戸締り』の映画は自分はまだ観てません。

劇場公開前日とかの「金曜ロードショー」で「冒頭12分を公開」だけ観た。

観てない理由は特になくて、なんとなく行きそびれた、ので。

『すずめの戸締まり』1巻より(新海誠/甘島伝記/講談社)

映画を観ずにコミカライズを先に読んじゃうというのもなかなか稀有な状態なので、せっかくだしこのまま最終巻が出るまでは映画版がサブスクにきても観るの我慢しようかな、と思います。

「金曜ロードショー」で観た「冒頭12分を公開」部分までが、だいたい忠実に、だいたい1巻の1/3を占めるぐらいのボリュームで。

なので一冊で映画の30分分相当。

映画が122分とのことなので、だいたい4巻で完結するペースですかね。

『すずめの戸締まり』1巻より(新海誠/甘島伝記/講談社)

宮崎県南部で叔母と暮らす女子高生・すずめは、登校中のある朝、ロン毛のイケメンに出会う。近隣の廃墟を探しているというイケメンに、すずめは道を教えてやり一旦は別れるが、登校中にやっぱり気になって、イケメンを追って廃墟へ。

廃墟の中の広場に「どこでもドア」のようにポツンとそれだけが立っている不審な扉に近づいたことで、大地を揺らして暴れる巨大なミミズ、それを封じる扉、その扉を閉じる役割を持ちつつ呪いで椅子に変えられたイケメン、彼が追う、猫に姿を変えた要石(かなめいし)、などなどが彩る、不思議な旅が始まった…

『すずめの戸締まり』1巻より(新海誠/甘島伝記/講談社)

冒頭12分以外、映画未視聴の分際ですが、おそらく忠実にコミカライズしているんだろうと思います。

なんでかというと、1巻がまだ、そんなに面白くないから。

劇場で観る映画って基本的に客を有料で2時間とか劇場に閉じ込めちゃって、よっぽど観るのが苦痛でもない限り面白かろうがつまらなかろうがラストまで観てもらえちゃって、作品全体で評価してもらえちゃうんで、「序盤がつまらなくても中盤や終盤が面白ければOK」「オチで感動させられればOK」なところはあり、また声優の演技などに加えて特に新海誠作品は映像美や音楽で魅せる面も強いので、「静かな立ち上がり」の序盤の展開の退屈さや「間」を、「動画」で補えちゃったり。

『すずめの戸締まり』1巻より(新海誠/甘島伝記/講談社)

その同じ内容をメディアの異なる漫画の単行本で4分割なり、連載だったらさらにそれを8分割なりされると、単品のパッケージとして「1巻あんま面白くない」は、まあ起こり得るんですよね。

1巻は正直まだキャラ立ってないし、椅子相手のラブコメは萌えないし、物語の始まり的にもボーイミーツガール的にも平凡だし、物語の縦軸は見えてこないし、読んでて感情が動くご褒美がこの巻にはまだありません。

大ヒット作のコミカライズですから、漫画用のカスタマイズや改変、独自要素も諸般の事情でやりにくいでしょうし、あまりコミカライズ作家や編集を責める気にもなりません。

大ヒット作のコミカライズをアフタヌーンでやるのに選ばれるだけあって、決して作画は悪くないです。

土台が、言うなれば映画を気に入った観客向けのファンアイテムなので、映画未視聴でコミカライズだけ細切れで読んでる自分の読み方が間違ってる気が、大いにします。

「1巻が面白くなければ即打ち切り」の現代の連載漫画とは全く違う創られ方をされている、小規模な「起承転結」を具備せずに「起」と「承」しかない1巻。

とは言え、明らかに震災をモチーフにした社会派のテーマが見え隠れする描写や展開、興収100億円映画が原作であること、なにより『秒速5センチメートル』の新海誠作品であるという、「普通の連載漫画」が持てないアドバンテージもまた持っている作品ですから、

『すずめの戸締まり』1巻より(新海誠/甘島伝記/講談社)

「どうせ最後には面白くなるんでしょ」という期待で、最後まで読むつもりです。

作品のためにも、漫画家のためにも、私のためにも、アフタヌーン編集部は責任を持ってケツ持っていただきたい。

 

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