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#ゆゆ式 13巻 評論(ネタバレ注意)

15年目の13巻。もう老舗ですね。アニメ化も2回したんだっけ?

端的に言うと、「箸が転げても可笑しい仲良し女子高生3人組が雑談してる4コマ」なんだけど、ハイじゃないハイコンテクストというか狭いコンテクストの会話芸で、ボーッと読んでると目が滑って何が面白いのかわからなくなります。

『ゆゆ式』13巻より(三上小又/芳文社)

「日常ギャグコメディ4コマとか一番感想書きにくい」と毎回言ってるんですが、ちょっと背伸びして、感想書きにくい作品同士を比べて論じればちったあマシになるだろうか。

男子を排除した「女子日常コメディ4コマ」ってのは、『ゆゆ式』自身も含まれる「きらら系」を筆頭に近年はいっぱいあります。

『ゆゆ式』の「女子日常コメディ4コマ」としての特徴は、「ユルい癒し系」であること以外に、ネタの「毒」「狂気」「闇」がスパイスになってるところかなと思いますが、これは特に『ゆゆ式』に限った話じゃなくて、ヒットしてる「女子日常コメディ4コマ」はこれらがスパイスになってることが多いです。

『ゆゆ式』13巻より(三上小又/芳文社)

メインの客層が女児じゃなくて成人男性なので、甘口すぎ・お花畑すぎる「ユルい癒し系」要素だけだと刺激が足りなくて保たないんですかね。

多くの場合、漫画的に「毒」「狂気」「闇」がキャラにキャラ付けされることが多いんですけど、『ゆゆ式』の場合、それらの取り入れ方がキャラ付けよりもう少し自然なように思います。

ゆずこの奇想天外な発想の狂気が目立つんですけど、虎視眈々と一発を狙ってる縁やツッコミ役の唯ちゃんも含めて全キャラの内心や発想にも「独りで変なこと考えちゃった」っていう作者の狂気や闇がちょっとづつ宿ってんですよね。

しかも「いつか克服する闇」じゃなくて、「一生付き合う、日常的に誰もが持つ闇」として。

『ゆゆ式』13巻より(三上小又/芳文社)

アクションがほとんどなくて、ゆずこ・縁・唯の3人の会話芸、しかも基本的に大喜利的に友達を笑わすことを狙ってる会話芸ってこともあって、

「あ、変なこと思いついちゃった」

「引かれるかもしれないけど、言っちゃった」

「笑ってくれた、よかった」

みたいな。

ボディアクションを伴った漫画的な狂気じみたシュールなキャラ付け(端的に言うと『苺ましまろ』の美羽です)

『苺ましまろ』9巻より(ばらスィー/KADOKAWA)

は絵ヅラにもパンチ力があってそれはそれで面白くて好きなんですけど、読者とギャグ漫画家自身の精神に負担をかけがち、作品寿命が縮むか寡作になるかしがちです。

『ゆゆ式』の描く狂気は美羽ほど気合いが入ってない代わりに、よりユルくてカジュアルで日常的で「あるある」で、コンスタントに続けていながらも15年も愛されている理由ってその辺の

『ゆゆ式』13巻より(三上小又/芳文社)

「誰もが日常的に持ち一生付き合うことになる内なる狂気、の共有」

の描かれ方の、居心地が良いからかな、と。

ドン引きすることはあっても、笑い転げることはあっても、治そうとはしないんですよね。

あと現代日本の学校が主な舞台なんですけど、まるで作者が「精神と時の部屋」に篭って俗世との関わりを絶って描いているかのように、ネタが現実社会の時事や情勢やトレンドから妙に浮世離れして隔絶されているのも、読んでて精神的に現実から「気分転換」「逃避」できて、「寝・逃・げでリセット!」ならぬ「『ゆゆ式』でリセット!」できて、良いですよね。

毒も狂気も闇もあるのに、読んでて妙にリラックスできる、「暖かい闇」みたいな。

あんま煮詰まってなくて言語化できてないんですけど、一応ブログなので

「自分はなんで『ゆゆ式』を面白いと思うんだろう」

を、ちょっと無理やり言葉にしてみました。

『ゆゆ式』13巻より(三上小又/芳文社)

自分でもなに言ってんだかよくわかんねーなw まとめんのむずいよね。

要するに、今巻も可愛くて面白かった、と言いたかった。

普通だな。

 

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