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#メダリスト 8巻 評論(ネタバレ注意)

現役時代を不完全燃焼で終えた新米コーチ・明浦路 司(あけうらじ つかさ)(26歳♂)が、高い身体能力を持ち競技への情熱を燃やす小学5年生の少女・結束(ゆいづか) いのりと出会う、フィギュアスケートもの。

基本シリアス進行ながらこまめにコメディで空気を抜いてくれて、エモくて泣けるのと同時に読んでて楽しく、読みやすい。

あ、アニメ化決定とのことでおめでとうございます。動画がとても大変そうだけど、動く『メダリスト』、楽しみですね。

『メダリスト』8巻(つるまいかだ/講談社)

講談社「アフタヌーン」作品であるにも関わらず、「講談社漫画賞」より先に他社の「小学館漫画賞」を受賞してしまう珍現象も発生、おめでとうございます。

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6年生になり6級に。ノービスへの挑戦権を得たいのりは、全日本への道・ノービスA予選中部ブロック大会に出場、優勝。

大変エキサイティングな特訓編を経て、今巻から全日本ノービスA開幕。

滑走順、いのりのライバルで大本命の光は11番手、「4回転を跳んで"降りる"らしい」と注目の的となったヒロイン・いのりは28番手と、「まくり」が起こり得る番手。

『メダリスト』8巻(つるまいかだ/講談社)

氷上の熱戦、幼いながらプライドを懸けたバッチバチのガチンコ、「負けてなお強し」な全国の猛者たちの滑走を経て、その大本命の狼嵜 光(かみさき ひかる)の滑走をラストまで。

狼嵜光の滑走がフルで描かれたのは作中初めてでしたっけ?

天才に見出された天才の本領を、スポーツ漫画のあらゆる技法を駆使して見応えたっぷりに。

自分はフィギュアスケート全然詳しくないけど、ここに出てる連中と、特に狼嵜光が物凄いのだけはチョットワカル。

『メダリスト』8巻(つるまいかだ/講談社)

画・構図・描写の見応えはもちろんですけど、モノローグ、回想エピソード、観客のリアクションの他、特にライバルやそのコーチたちのリアクションのセリフと演出と情報量で、演技の物凄さがわかりやすく、TV中継には映らない陣営同士の駆け引きも自然に。

演出のキモがモノローグとライバルとそのコーチ陣の「たくさんの解説役」に負うところが大きく、これ真面目にアニメ化したら地味に『銀河英雄伝説』並みにたくさん声優さんが要るんじゃねえかな、という気もw

『メダリスト』8巻(つるまいかだ/講談社)

この小学生女子、強そうすぎない? 勝負に対するメンタル、そういう修行すればフリーザ様や無惨様にも勝てそう。

狼嵜光の小学生にして「持って生まれたものの違い」「棲んでる世界の違い」演出とエピソードで、いのりを応援する読者の心をへし折りにきてる感すげえ。

球技や格闘技のように相手のプレイに直接介入・妨害ができる「直接対戦型」の競技ではなく、単独演技の得点を競う「スコア型」の競技で、作戦や技術で「相手の弱点を突いて一発逆転で勝つ」のが実質不可能、単純に「相手を上回る」ことでしか勝てないルール形式なのも、いのりが勝つシーンを想像する上でなかなか厳しい。

あと、物語的には当然、「いのりは先に滑った狼嵜光の得点を上回る滑走を見せられるのか」の得点マッチレースが次巻以降の焦点になっていくように誘導されてんですけど、何が怖いって、本命の狼嵜光以外にも伏線張ったライバルでまだ滑ってない奴がいるんですよね。

競技ルールと、キャラの存在意義・役割を照らし合わせると、アレよね…

『メダリスト』8巻(つるまいかだ/講談社)

そう簡単に「一筋縄」でいくものかどうか、まだ巻数が浅くて、作者の「試合回」「大会回」の手癖というか、底がまだ見えないだけに。

 

 

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