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#悪役令嬢転生おじさん 5巻 評論(ネタバレ注意)

異世界転生ものや悪役令嬢ものは何しろ数が多く全部読んでたらキリがないので、よっぽどのことがない限り読んでないんですが、1巻がなんかよっっっっぽど話題になってたので手に取った作品。

乙女ゲーやってる娘ともリビングでオタク談義を交わす程度にオタク文化に造詣が深いバーコードハゲの公務員のおっさん(52)は、トラック的なやつに轢かれた的なことで乙女ゲーの中の悪役令嬢に転生してしまった!

『悪役令嬢転生おじさん』5巻より(上山道郎/少年画報社)

王侯貴族の子女が集う学園で、平民出のヒロインを虐める役どころの悪役令嬢だったが、おっさんはついつい地の人の良さと「娘の親」目線が出てしまい、乙女ゲー内の貴族学園はおかしな方向に展開していく…

という、異世界転生+悪役令嬢+生徒会+異世界おじさんな欲張りセットな漫画。基本、コメディ進行です。

1巻が面白かった反面、グッドアイデアで生まれた作品は出オチの一発ネタになってしまうことが多いんですけど、2巻からはゲームの世界にお父さんが転生したことを妻と娘が認知し、リビングのゲーム機とTVを通じて主人公のおっさんを観察する新しい仕掛けが。

『悪役令嬢転生おじさん』5巻より(上山道郎/少年画報社)

自分は結婚したことはないですが、美少女化してお嬢様「ですわ」口調で振る舞っている姿を妻や娘に見守られてることがわかったら、たぶん舌噛んで死ぬ気がします。おっさんには強く生きてほしい。

初期設定が2巻までで定義されて、非日常な異世界日常ものとしての通常モードクルージングに入った感じ。早くも既に「悪役」関係ねえなこれ…

今巻は一冊かけて、メタ的にはゲーム内イベント、ゲーム内的には学園カリキュラムの一環であるダンジョン探索編。

『悪役令嬢転生おじさん』5巻より(上山道郎/少年画報社)

先行探索メンバーとして選抜された生徒会のいつメンたち。

しかしダンジョン入り口に踏み入れた瞬間に不可思議な魔法陣が展開され、8人のメンバーはそれぞれペアでバラバラに危険なダンジョン深層に転送されてしまうのだった…

ということで、学園生活を離れて初のダンジョン編。

一冊でカタがつく重くないエピソード、相変わらず悪役令嬢(おっさん)が何をやっても良い方に転がり脇役たちからの人望が上がり、メタな現実世界のTV画面を通じておっさんの妻子が固唾を飲んで見守るお約束展開。

『悪役令嬢転生おじさん』5巻より(上山道郎/少年画報社)

ながらも、という。

おっさん(悪役令嬢)はゲーム世界に顕現した「現実というメタ(上位構造)からの介入者」なんですけど、その「メタ(上位構造)からの介入」をゲーム世界内で認知しているキャラ(?)が初めて登場(?)

ダンジョン入り口の不可解な転送陣は一体なんだったのか、そもそもおっさんが悪役令嬢として「メタ(上位構造)から介入」できている意味はなんなのか。

転生・転移そのものの意味や仕組みについて多くを語らない「異世界もの」作品も多い中、この作品はそこに手を突っ込んでいく感じなんでしょうか。

『悪役令嬢転生おじさん』5巻より(上山道郎/少年画報社)

もしそうなら、作中作とメタの彼岸、世界の秘密、「本来のグレースの魂はどこに居るのか」、俄然スリリングな楽しみが増えるんですが。

 

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