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あ、今日読んだ漫画

#新九郎、奔る! 15巻 評論(ネタバレ注意)

室町後期(戦国初期)の武将、北条早雲の幼少期からの伝記もの。享年64歳説を採用。

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中世代を舞台にした作品ながら、現代の話し言葉を大胆に採用、横文字もガンガン出てくる。おっさん達の政争劇は作者の本領発揮なイメージ。

『新九郎、奔る!』15巻より(ゆうきまさみ/小学館)

北条早雲の伝記を漫画の上手のゆうきまさみが、の時点で面白いに決まってんだけど、日本史の中でも複雑で難解なことで有名な応仁の乱がらみ。渋すぎるテーマをどう捌くのか。

駿河下向の第一幕と応仁の乱が終息し、名門・伊勢家の分家の当主として、目下の課題は

◎駿河の相続問題(甥の龍王を守護に)

◎お家の借金返済

◯荏原荘園の経営

△嫁取り

△立身出世

というところ。

『新九郎、奔る!』15巻より(ゆうきまさみ/小学館)

「課題解決型」というか、解決してないものも多いので「課題累積型」というかw

上級武士未満・中級官僚未満の悲哀、というところでしたが、情勢が徐々に剣呑に。

前々巻で「借金返済」が一応目処がつき、前巻で「嫁取り」が解決、今巻では男児も生まれ、それに前後して、駿河の相続問題における「目の上のたんこぶ」だった関東の雄、太田道灌が退場。

根回し&根回し&根回しで、甥の龍王丸を満を辞して駿河国守護に据えるべく、再度の駿河下向。

『新九郎、奔る!』15巻より(ゆうきまさみ/小学館)

しかし、駿河においても根回し&交渉で事を進めたい新九郎に対し、太田道灌の後ろ盾を失ったはずの駿河国における「抵抗勢力」は、龍王丸の「うつけ疑惑」も手伝って、もはや交渉だけでは収まらない強硬手段に手を染め始めた…

ということで、宿年の駿河国の相続問題が、いよいよ武力を伴う騒乱沙汰、それによる決着が近づいてる感じに。

1巻以来、北条早雲の「乱世の梟雄」のイメージにはどうもそぐわない、生真面目で責任感の強い誠実な人格と官僚型の能力を持った、攻撃性が薄くお人好しの「リアクション型」の新九郎が、

『新九郎、奔る!』15巻より(ゆうきまさみ/小学館)

何をもってカオティックな「戦国武将」にモデルチェンジするんでしょうね、とずっと思っていたんですが、怒りなんですかね。

生真面目で責任感が強いだけに、「約定が破られる事」「その被害が一族郎党に及ぶ事」に対する怒りが、新九郎を「乱世の梟雄」に羽ばたかせるんでしょうか。

という予感をさせる巻でした。

武家は、室町幕府下の平和だった時代を経ても、なんぼサラリーマン的で官僚的に見えても、本質的には軍人政治家であるということなんかねえ。

『新九郎、奔る!』15巻より(ゆうきまさみ/小学館)

ということで、血の匂いの予感がしつつ、次巻に続く。

 

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