
米ハリウッドをモデルにした、架空の映画産業の街・ニャリウッドが舞台。
伝説の名プロデューサーを祖父に持ち、その才能を血と英才教育によって継いだ少女・ポンポさんを中心に、俳優・監督・脚本・音響など映画に関わる様々な人々の映画にかける情熱や悲喜交々を描くシリーズもの。

『ニャリウッド!2 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きアランくん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
自分が知る限りシリーズ8冊目です。
以下のリンクで出版時系列で並べてますのでご参考までに。
aqm.hatenablog.jp
一世を風靡する新進気鋭の映画監督となったジーンくんの、ハイスクール時代の同級生、アランくんは行き詰まっていた。

『ニャリウッド!2 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きアランくん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
要領の良い頭脳、恵まれた容姿、社交的な性格で順風満帆にスクールカーストの上の方で過ごし、ステータスと安定を求めて大手銀行に就職、エリート街道を歩んでいるはずだったが、正解のない融資の営業の世界で大規模案件を狙っては顧客からの信頼を得られず、自分の人生に疑問を持ち始めていた。
そんなある日、アランくんの部署に新作映画の企画に対する融資話が持ち込まれる。
学生時代にカーストの上から見下していたジーンくんが有名映画監督になったことが心に引っかかっていたアランくんは「自分だって」と、この案件に手を挙げた。
持ち込まれた映画の企画は、名女優・ミスティアが立ち上げた振興の映画制作会社によるもので、いつもの「ポンポ組」の面々が集う企画だったが、借り物の言葉でビジネス面から映画を語るアランくんと、パッションと合理性で映画を創るポンポさんは、水と油だった…

『ニャリウッド!2 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きアランくん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
タイトルがアランくんなのでアランくん目線であらすじを語るとこんな感じですが、この作品にはもう二人、実質的な主人公がいます。
かつて子役として名を馳せたものの、成長とともに埋もれていき女優業を引退、ミスティアの事務所でスタイリストを務めるコレットさん。
そして女優業から映画プロデューサー、そして映画制作会社の経営者へと活躍のフィールドを拡げる、シリーズ常連でお馴染みミスティアさん。
三者三様に見せ場が用意されます。

『ニャリウッド!2 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きアランくん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
美味しいところを持ってって、恒例のクライマックスのカラー見開きをゲットするのは誰なのかw
社会人目線ではやはり、夢を見ずになんとなくエリートになったアランくん、一度は夢を諦めたコレットさんの二人の、「夢の再起動」に目が行きます。
大人になって手に職を持つと、夢を語るのはなかなか周りを憚られるのは、気持ちがとてもわかるんですが、周囲の目線は「蔑視」ではなく、意外と「嫉視」かもしれませんよ、という。
今いる場所で夢を創るか、夢のために転進するか。
身につまされるねぇ…

『ニャリウッド!2 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きアランくん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
クライマックスのビジネスと映画の話、アランくんは熱意と胆力を示したものの、「デウス・エクス・マキナ」「ジョーカー」に救われただけで、銀行家たち、ひいては「映画とビジネスのジレンマ」を説得・超克できたわけではありません。
今回「やられ役」として少々失言が過ぎましたが、銀行家が語る方法論で制作される映画は現実にも山ほど創られ、それによって映画業界が成立して人が育つ土壌になっているのも確かで、それは漫画もそんなに変わらないように見えますね。
業界の問題、創る側の問題、ビジネスの問題、それとも受け取る側の問題でしょうか。
問題提起というよりは、ただの現状確認でしょう。
さて。

『ニャリウッド!2 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きアランくん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
相変わらず単巻完結、「起承転結」?「三幕構成」?でエンタメしつつ、エピソードごとのテーマ設定が明確で、描写も含蓄に富んでいて、読後の満足度がとても高い漫画作品。
どこか
「あなたの人生も、それでいいの?」
と銃口がずっとこっちに突きつけられているように感じてしまうのは、脛に傷持つ身なればこそ感じてしまう、被害妄想でしょうかw
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