「J」は裏社会で自他共に認める最強の、一匹狼の凄腕の殺し屋だったが、性格はハードボイルドに憧れて形から入るナルシストのおっさんで、本名は純一だった。
恵は小学3年生の少女で、記憶力と学習能力に優れた優等生だったが、家庭では毒親の母親からスパルタ教育ハラスメントを受け、学校では外国人とのハーフの容貌を理由にバカガキ男子からのイジメに遭っていた。
恵が家出してうずくまっていた階段は純一が暮らすマンションで、
ひょんなことから二人は頭をぶつけて「入れ替わり」が起こってしまう。
「自分の身体」を少女誘拐犯にしたくない純一、家庭や学校からの逃避先を得た恵、利害が一致した二人の、協力しながらそれぞれ「相手のふり」をする生活が始まった…
という、『レオン』と『君の名は。』と足して三谷幸喜で割ったような、殺し屋ものギャグコメディ。
『ヒナまつり』で著名な大武政夫の新作は、
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再び「アウトローのおっさん×少女」。
別作『女子高生除霊師アカネ!』との二毛作。
「殺し屋もの」「一般人のふりして俺TUEEEE」「入れ替わりもの」「見た目は美少女、中身はおっさん」
などの流行りの売れ線要素をテキトーに詰め込んだような初期設定ですが、
出オチになりがちな奇抜な初期設定のアイデアに依存するタイプではなく、ベタな初期設定をきっかけにシチュエーションのバリエーション豊かに転がす頭抜けた「ネーム力」に本領を持つ作家なので、あんまり問題になりません。
誰でも思いつきそうな設定ですが、ここまで面白おかしく描ける作家はほとんどいません、という作品。
女子小学生が人を殺すのはいかにも絵ヅラが露悪的すぎるせいか、保険として「悪人しか殺さない」というリミッターで一応の線引きも、という配慮もw
ガンアクションも見応えアリ、という意外で嬉しいおまけ付き。
顔見世の1巻に続いての2巻は新キャラ登場、美貌と毒を武器に「J」の商売敵として名を売る女殺し屋・マリー。
Jに恨みを持つヤクザに入院中の親族を質に取られ、同業者であるJの暗殺を引き受けさせられたマリーだったが、威力偵察がてら向かったJのセーフハウスにいたのは、着ぐるみ着てぬいぐるみを抱きしめる変なおっさんだった…
「入れ替わりコメディ」ながら、アサシン・アクション、ガン・アクションも丁寧に描写、悪役が隠しもせずに淡々と銃殺され刺殺される殺伐とした絵面。
こんだけあからさまに立て続けに殺害シーンを描いておいて「ギャグコメです」の姿勢をまったく崩さないずうずうしさw
「子どもに殺しはさせられない・見せられない」
というJの妙な倫理観が一服の清涼剤になってるような気もするし、気のせいのような気もします。
新キャラのマリーも強くてセクシーな「不二子ちゃん枠」ながら、ギャグコメ適性も高くていい感じ。可愛いし。
ギャグコメ要素に乾いたラブコメ要素、期待されてなかった割りに結構かっこいいアクション要素や殺し屋・銃器の描写と、ハイレベルな殺し屋コメディ。
「ハチャメチャ」の言いたくなる感すごいなw
他の殺し屋漫画からしたら、ハードル上がっていい迷惑だなw
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