『ガンダム』のスピンオフ・コミカライズですが、「ガンダムエース」のKADOKAWAではなく、集英社のヤンジャンコミックス、連載はグランドジャンプなのかな?
0079、一年戦争後期。
ホワイトベース隊の活躍によりジオン軍が指揮官のガルマ・ザビを喪った直後の、北米大陸。
北米大陸の錆びた大地と沈む夕日、『ガンダム』というよりは『ザブングル』、『ダグラム』、『ボトムズ』、『フロント・ミッション』のような、「陸戦兵器」としてのモビルスーツが支配するハードボイルドな荒野。
アムロが乗ったガンダム「RX-78−2」が、伝説というよりファンタジーのように遠く似合わなく感じられる、錆びた戦場。
地球連邦軍のマッカラン基地のジム小隊(?)は、宇宙から戦艦サラミスのカプセル(大気圏突入挺)で降下する新隊長を回収するために出撃。
しかし降下中に攻撃を受けたカプセルはジオン軍の勢力圏に降下。小隊の任務は新隊長の救出となった…
で始まる、宇宙世紀(U.C.)もの。
片ツノでジオンの紋章を付けた、謎の黒いガンダム。
レオ・バルナーク中佐、体力測定もMS適性もD判定、商社上がりで子持ちながらレビル将軍の姪と再婚して中途で入隊、という異色の経歴。
『踊る大捜査線』の青島くんと『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーと『課長 島耕作』を足して割ったようなキャラ造形。
モビルスーツ描写、戦闘描写も上々の出来ですが、主人公はMSに乗らず、ヤン・ウェンリーばりの戦術指揮と人脈と商才?で活躍する、ありそでなかった『ガンダム』。
ぶっちゃけハズレも多い『ガンダム』スピンオフ・コミカライズの中では十分「当たり」の部類。
脚本と作画が分かれてまして、脚本家は『SEED』『SEED DESTINY』『オルフェンズ』などアナザーガンダムのアニメ本編にも参加していたとのことです。
『ガンダム』世界観、UC世界観の考証にも唸らされるものがあります。
前巻以来の「vs片ツノ」戦が決着。
この主人公らしい、素材知識に基づいた作戦勝ちですが、決着自体は「判定勝ち」というところでしょうか。
ルナ・チタニウム、ガンダリウム合金については『Zガンダム』の原作小説の冒頭で富野由悠季がけっこう尺を割いて描いてた記憶があります。
ミノフスキー粒子と同じく、宇宙世紀世界観におけるガンダムの優位性の根拠付けというか。
後付け設定の激しいシリーズなので、公式設定はもう富野の手は離れてるかとは思いますが。
ja.wikipedia.org
んで、新章は戻ってきた基地司令からのオーダー。
ジオン勢力圏のさる重要人物の、連邦への亡命の手引き、潜入工作任務。
さる重要人物、「1st」本編にもチラッと登場してましたよね、確か。
なんでMS小隊長にそんな任務やらせますのん? 情報部か特殊部隊の仕事ですやん?
とは思いますが、やれっつんならしょうがないというか。
もともと宇宙世紀世界は、総じて兵科を超えてMSパイロットにいろんなことさせがちですけどw
同時にジオン側ではザビ家親衛隊が新型MS「ドム」を携えて北米の前線入り。
正直、やや性急でやや強引、それでいてヒロイン格の女キャラの出番も急に不自然に?増えるなど、作品の存続そのものに不穏を感じなくはないですが、イセリナを巡る攻防やレミアの関わり方は1巻の「未来回想(展開予告)」シーンに描かれていたものなので、キャラの顔見世は終わって本来のプロットに入った、と見るべきか。
エージェントとの接触を図って潜入工作先のロス・ハリウッドを舞台に官憲とのFIAT500でのカーチェイス、『007』や『ルパン三世』で観たことあるようなシーンで、
リアリティがあるんだかないんだかという感じで全然ガンダムっぽくもないですが、「こういうの描きたいんだな」というのと、「たまにはいいか」というのとw
バスケやテニスがスポーツとして存続していたり、ハリウッドが現存していたりマイケル・ジャクソンの名前やFIAT500が登場したりと、「現代」と地続き感の強いガンダムですねw
aqm.hatenablog.jp
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