
父親の借金を背負って臓器を売りながら生き延びてきた野良犬少年デンジ。

『チェンソーマン』17巻より(藤本タツキ/集英社)
悪魔ポチタとコンビを組んでヤクザの下で搾取されながら悪魔狩りを営むも、ヤクザが悪魔に乗っ取られ絶体絶命のピンチ。
ポチタと融合してヤクザを皆殺しにしたデンジは、チェーンソーの悪魔として公安幹部の美女・マキマにスカウトされ、美少女魔人・パワーと組んで公安デビルハンターとして悪魔と戦う。
悪魔との戦いを通じて知己や友人を得て、そして喪って、裏で全ての糸を引いていたマキマをすら打倒して、あれほど渇望した愛をささやかながら与える側になったデンジ。
第一部・完。

『チェンソーマン』17巻より(藤本タツキ/集英社)
作者の数本の読み切りを挟んで約1年半ぶりの連載再開、第二部開始。
同じ世界観で新キャラを主人公のように扱って、従来の主人公のデンジをはじめ旧作のキャラが登場しない導入、からの満を持してのデンジ登場。
「黙示録の四騎士」と称される「戦争の悪魔」「飢餓の悪魔」が登場、「死の悪魔」は未登場。
いろんなキャラがチェンソーマンたるデンジに、やれ戦え、やれ戦うな、やれ崇拝する、やれ軽蔑する、やれニセモノ登場、とデンジ本人の意思をよそに策謀し、あるいは妄動する展開。

『チェンソーマン』17巻より(藤本タツキ/集英社)
「ナユタと犬猫と穏やかに暮らして、あわよくば女とセックスしたい」
以外なにも考えてないデンジが、世界を救ったり滅ぼしたりしたいいろんな勢力に迷惑かけられまくる展開に。
奇しくもデンジと同じ名前を持つ特撮ヒーローもの『電子戦隊デンジマン』の名曲『』ああ電子戦隊デンジマン』にこんな一節があります。
小さな命を守るため 愛と勇気の炎を燃やす
漫画や特撮のヒーローの暗黙の条件はこの「小さな命を守る」ことです。

『チェンソーマン』17巻より(藤本タツキ/集英社)
「小さな命」は具体的には子ども、特に幼女ヒロインと、犬や猫などの愛玩動物です。
世の中には
「犬が死ぬなら、その映画は観ない」
という層が一定数いて、本作今巻の展開でも
「犬や猫が犠牲になった(守れなかった)ので読むのをやめる」
という読者の意見を、連載時のネットの感想でいくつか見かけました。

『チェンソーマン』17巻より(藤本タツキ/集英社)
しょうがない。
そういう意味で「小さな命」を守れなかったデンジはヒーロー失格で、守らせなかったこの作品は「ヒーローもの」失格です。
ただ、「ヒーロー失格」も、「それに慟哭するヒーロー」も、「ヒーローの暗黙の条件なんかぶっ壊す」も、「最初からヒーローものなんか描いてません」も、いずれもこの作品らしい話だな、とは思います。

『チェンソーマン』17巻より(藤本タツキ/集英社)
デンジマンじゃなくてデンジですし、デンジが『デンジマン』主題歌のフレーズを律儀に守る義理もないですし。
ストーリー的には、力を秘めてはいてもただの「状況の被害者のデンジ」がいろんな勢力から一方的に被害を受け続け、反撃と復讐の動機が練られていく曇らせ展開中で、そんな面白い巻でもないです。続きに期待。
aqm.hatenablog.jp
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