80年前、魔王を打ち倒し平和をもたらした伝説のパーティ。
勇者ヒンメル。戦士アイゼン。僧侶ハイター。魔法使いフリーレン。
王都に凱旋した彼らには、世界を救った功績に対する歓待と、その後の長く平和な人生が待っていた。
80年が経ち、勇者も僧侶も寿命で世を去り、戦士のドワーフも老いた中、長命種エルフの魔法使いフリーレンだけがひとり変わることなく魔法を求めて彷徨いながら、かつての仲間の死と追憶に触れていく異色のファンタジーもの。
ヒロインからしたら一瞬にすぎない間しか同じ時間を過ごせない、エルフと人間の寿命と時間感覚のギャップの哀愁を淡々と。
フリーレンに、弟子の魔法使いフェルン、戦士のシュタルクを加えた一行は、一級魔法使い試験を経て、危険なため通行が禁止された北部高原へ。
魔族の幹部・七崩賢の生き残り「黄金郷のマハト」を打倒したフリーレンの身に次に起こった出来事は、「女神の石碑」に触れたことが原因で、80年前、魔王討伐の旅の途上にあった「伝説のパーティ」の時代へのタイムリープだった。
フリーレンはフェルンやシュタルクが待つ「現代」へと戻ることができるのか…
ということで、伝説のパーティの冒険を、回想シーンではなく「現役」として読める眼福なタイムリープ編、今巻冒頭で決着。
ヒンメルがみた「とても良い夢」が切ないな…
旅の途中、辺境での短〜中編エピソードを挟んで、帝国・帝都アイスベルク編へ。
帝国の建国祭にゲストとして招かれた大陸魔法協会の代表・ゼーリエ。
宮廷に潜入中のスパイ魔法使い・リネのアールによると、宮廷内ではゼーリエの暗殺計画が進行中とのこと。
大陸魔法協会は精鋭・一級魔法使い5名を指名、ゼーリエの護衛を命じる。
5名の中にはフェルンも含まれ、自然、パーティを組むフリーレンとシュタルクも巻き込まれることとなった…
ということで、フリーレン世界観で強大な勢力を維持する「帝国」が、帝都を舞台に本格的にお目見え。
辺境エピソードで出てきた「影」は帝都にも存在、歴史が長く巨大な分、「なぜ」の説明がぶん投げられてるのも妙にリアリティを感じます。
巻としては見せ場と見せ場の合間の幕間、作品としての盛り上がりどころの巻ではありませんが、相変わらず淡々とした中に戻らない時間の哀愁が漂う演出、いちいち可愛いフリーレン、フェルン、シュタルクの関係性と会話劇コメディで、眼福な進行。
ヒンメルの見た夢、ユーベルとラントの組み合わせ、ケモ耳フェルンとケモ耳シュタルクと、SNSの反応やファンアートへの目配せの効いたあざといファンサービスと、読んでて楽しく、読後の満足度の高い幕間巻。
原作漫画に加えてアニメで28話も付き合っちゃうと、単純接触効果でキャラに愛着湧いちゃって、日常会話シーン見てるだけでもニコニコしちゃいますね。
アニメのシーズン2への期待は高まりつつも、もともと早くもなかった更新・刊行ペースが更に落ちて、年1〜2冊ペースになってるのが、懸念と言えば懸念。
20〜30年ぐらいかけて作品にお付き合いするのも、『フリーレン』らしい気もしますが。
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