
最強の悪魔デビィ・ザ・コルシファは最強故に地獄界で闘う相手がいなくなり、退屈しのぎに人間界へ現れた。
人間界というか具体的にいうとその辺の高校生・六郎の部屋に現れた。

『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』9巻(平方昌宏/集英社)
しかしゲームにかけてはクソ雑魚ポンコツだった最強の悪魔は、以来、人類の存亡を賭けて毎日、六郎の部屋に遊びにやってくることになった…
という、のじゃ語尾最強美女ヒロインのクソ雑魚チョロポンコツっぷりを愛でるギャグコメディ。
ルックスはジャンプ漫画っぽいですけど、平凡な少年の家に超常の何かがやってくる、という「オバケのQ太郎」的な藤子不二雄ワールド的な、非日常キャラによる日常ギャグコメ、という定番ジャンル。
連載のリアルタイムとゆるく連動して時間が進み、季節は作中二度目の冬〜春。
ギャグコメ進行ながら「いつかくる終わり」を予感させ、ヒロインが「永遠であれ」と抗う描写が度々差し込まれ、読者が忘れた頃に「受験で忙しい六郎」エピソード。
匂わせるのはやめて、日常コメディ回は日常コメディに徹して、六郎の環境が変わる話は回を絞って、でも匂わせに逃げずに正面から、という。
この作品をどうしようか迷ってた作者が腹を括って吹っ切れたムーブにも見えますねw

『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』9巻(平方昌宏/集英社)
今巻で完結。
クリスマス、受験を控える六郎のもとへ「気を遣って」遊びに行かないデビィの、日和った先延ばしザコムーブにキレるエル。
エルに背中を押されるように、気持ちを伝えに六郎のもとへ向かうデビィ。
六郎の大学受験の合否、そしてデビィへの返事は…そんな時に訪れるデビィ最大のピンチ!
という、最終巻らしく盛り上がる建て付け。
これまで「ラブコメ」のラベルを貼られることを注意深く避けてきた漫画かなと思います。
六郎とデビィの関係の「未満恋愛ラブコメ」じゃなくて「ラブコメ未満」、てまりちゃんとの関係も「三角関係未満」。

『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』9巻(平方昌宏/集英社)
遊び相手としてはともかく恋愛の相手として、人間の六郎と悪魔のデビィの「寿命ギャップ」も有り、
「この漫画がラブコメだとして、ハッピーエンドってなに?」
という問題が。
力づくで悪魔・吸血鬼(長寿の人外)が人間になったり、人間が長寿の人外になったりする作品もありますし、哀しく別れるビターエンドの作品、それを追憶する作品もあります。
aqm.hatenablog.jp
でもたぶん、そんなラスト望まれてないよね、この作品、という。
この漫画は、このまま匂わせた「ラブコメ要素」を見なかったことにして「ギャグコメ」として終わるのかな、と思ったんですけど、最終巻で「ラブコメ未満」が「未満恋愛ラブコメ」に微妙に、でも確かにクラスチェンジしました。

『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』9巻(平方昌宏/集英社)
「人間の寿命なんて悪魔に比べれば一瞬だ!
この時間がずっと続くなんて思うなよ!?」
と、「寿命ギャップ」についてまで、作品が自分で言いました。
その上で、ネタバレですけど、「賑やかな毎日はこれからも続くエンド」でした。
読者はみんな黙ってたのに、わざわざ作品が自分で「寿命ギャップ」に言及した上で、それを自分で踏み倒して終わりましたw
でも自分は好きな終わり方でした。
連載期間に連動するように作中で3年が経つ「非サザエさん時空」だったり、作品のかなり序盤で「デビィが人間界を滅ぼすバッドエンド」のIFを提示するなど、日常ギャグコメとしてちょっと異例な特徴を持つ作品でしたが、
「六郎とデビィはくっついていない、告白もしてない、モノローグでも恋心を認めてない」
「でも多分ずっと一緒にいる」
「賑やかな日々は続いていく」
「(たぶん六郎が遥かに先に死ぬ)」
という普通の終わり方。

『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』9巻(平方昌宏/集英社)
前述のとおり無理矢理でもくっつけてハッピーエンドにしようと思えば、「六郎が長寿化する」、「デビィが人間化する」、「ハーフの子どもが生まれる」とかこねくり回しようはあったと思うし、「結ばれたけど六郎は先に死んだ」のビターエンドにもできたんでしょうけど、
でもその作品に相応しい終わり方ってあるよね!?
ということでベタで平凡で陳腐で誰でも思いつく、でも名作『うる星やつら』などと同じ王道の、
「(まだ)くっついてないけど、多分ずっと一緒にいて、賑やかな日々は続いていくエンド」
でした。
寿命ギャップなんて、最終回の後に本人たちで考えれば、あるいは考えなくていいんですよ。
現実の恋人や夫婦だって同時に事故に遭わない限りは普通どっちかが先に死ぬんですけど、だからって愛し合わない理由にならないでしょ。
美しいエンディング、奇抜なエンディング、唸るようなエンディング、読者の心に刺さって傷跡を残すようなエンディング、いろんな物語にいろんなエンディング、作者が描きたいエンディングがあるべきだと思いますが、その中でもベタでも王道で「その作品に相応しいエンディング」の美しさってのもあって、この漫画はそういう終わり方だったなと思います。

『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』9巻(平方昌宏/集英社)
最後の最後までデビィがザコ可愛くて、可愛いかったねw
3年間お疲れ様でした。次回作もとても楽しみにしています。
あと誰か「六郎×デビィ」のイチャラブ同人誌描いてください。エロ有でもエロ無でもどちらでもOKです。
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