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あ、今日読んだ漫画

#J⇔M ジェイエム 3巻 評論(ネタバレ注意)

「J」は裏社会で自他共に認める最強の、一匹狼の凄腕の殺し屋だったが、性格はハードボイルドに憧れて形から入るナルシストのおっさんで、本名は純一だった。

恵は小学3年生の少女で、記憶力と学習能力に優れた優等生だったが、家庭では毒親の母親からスパルタ教育ハラスメントを受け、学校では外国人とのハーフの容貌を理由にバカガキ男子からのイジメに遭っていた。

恵が家出してうずくまっていた階段は純一が暮らすマンションで、

『J⇔M ジェイエム』1巻より(大武政夫/KADOKAWA)

ひょんなことから二人は頭をぶつけて「入れ替わり」が起こってしまう。

「自分の身体」を少女誘拐犯にしたくない純一、家庭や学校からの逃避先を得た恵、利害が一致した二人の、協力しながらそれぞれ「相手のふり」をする生活が始まった…

という、『レオン』と『君の名は。』と足して三谷幸喜で割ったような、殺し屋ものギャグコメディ。

『ヒナまつり』で著名な大武政夫の新作は、

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再び「アウトローのおっさん×少女」。

別作『女子高生除霊師アカネ!』との二毛作。

『J⇔M ジェイエム』3巻より(大武政夫/KADOKAWA)

「殺し屋もの」「一般人のふりして俺TUEEEE」「入れ替わりもの」「見た目は美少女、中身はおっさん」

などの流行りの売れ線要素をテキトーに詰め込んだような初期設定ですが、

出オチになりがちな奇抜な初期設定のアイデアに依存するタイプではなく、ベタな初期設定をきっかけにシチュエーションのバリエーション豊かに転がす頭抜けた「ネーム力」に本領を持つ作家なので、あんまり問題になりません。

『J⇔M ジェイエム』3巻より(大武政夫/KADOKAWA)

誰でも思いつきそうな設定ですが、ここまで面白おかしく描ける作家はほとんどいません、という作品。

女子小学生が人を殺すのはいかにも絵ヅラが露悪的すぎるせいか、保険として「悪人しか殺さない」というリミッターで一応の線引きも、という配慮もw

ガンアクションも見応えアリ、という意外で嬉しいおまけ付き。

2巻に続いて3巻も新キャラ登場、Jの顔馴染みで、父から家業を継いだ凄腕ガンスミスの女子中学生・夜桜メイ。

『J⇔M ジェイエム』3巻より(大武政夫/KADOKAWA)

登場したと思ったら、メイの腕を見込んだヤクザ崩れにいきなり攫われて、さっそく救出作戦に。

新キャラ追加は今んとこ一冊に一人のペース。ラブコメではないですけど、女子キャラ中心やね。

作品が抱えてる課題・闇として、恵のママの毒親気味なスパルタ教育と束縛があって、これがあるから恵は元に戻りたくないし、純一は早く戻りたいし、というキャラの動機になってます。

『J⇔M ジェイエム』3巻より(大武政夫/KADOKAWA)

本来、赤の他人の殺し屋である純一が積極的に親子関係の改善に働きかける立場でもないし動機もないんですけど、

「早く元に戻りたい、そのために恵をその気にさせたい」

という一心で、結果、ママの心の闇を解明しつつ親子の中を取り持つ殺し屋、という謎の展開に。

『J⇔M ジェイエム』3巻より(大武政夫/KADOKAWA)

しかもちょっとエモいっていうw

入れ替わり相手の家庭の事情や親子の関係なんて、設定が提示されるだけされてあとは放置されることが多いですけど、

「深掘りしていって、利活用して、それが面白い」

って、キャラの使い方もそうですけど、

『J⇔M ジェイエム』3巻より(大武政夫/KADOKAWA)

この人の作風だよなー、と。

 

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