近年よくある異世界ファンタジー漫画のような作品タイトルに表紙ですが、
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SF漫画『東京入星管理局』の窓口基の最新作です。ならば読まないわけにはいくまい。
大地を覆う「魔の森」の、ダンジョンから漏れ出る魔力による僅かな切れ目の土地で、冒険者たちが集う迷宮(ダンジョン)前町として栄える「鯨の喉元(エールスロード)」。
町の金物店「組鍵屋」の見習いの少女・ルディは、厳しい親方のもと生活鍛治具を作り売る仕事に就きつつ、いつか一流の冒険者たちの相棒となる武器・防具を造る鍛冶屋になることを夢見ていた。
仕事の合間を縫ってオリジナル武具を製作し、店に勝手に作った武具コーナーや露店での販売を試みるも、成果も評価もはかばかしくないが、今日もマッド・サイエンティスト・鍛冶屋のルディが創り出す武器や防具が、迷宮前町「鯨の喉元」に大騒動を巻き起こす!
的な感じ。大騒動は大袈裟か。小騒動〜中騒動。
珍妙な武具(発明品)とその造り主のルディが毎回騒動を巻き起こす、ちょっと藤子不二雄っぽく、またツインテールのマッド・サイエンティスト・ヒロインで『上野さんは不器用』も思い出す建て付け。
思い込みが強くそそっかしく無鉄砲、武具製作のセンスは厨二病全開、でもバイタリティと行動力に溢れるパワフルなヒロインが作品を引っ張ります。
見た目もツインテールにでっかいリボンに八重歯のちびっ子で、ロリ系というよりマスコット的・ジュブナイル的というのかw
あと近所の酒場の娘・ニコが美人可愛いおっとりしっかりお姉さんで、好きです。結婚してほしい。
作者が作者なので、「タイトル詐欺」「表紙詐欺」な、複雑で陰鬱な展開も予想して身構えて読んだんですが、表紙が示すとおり明るく陽気で元気な、鍛冶屋目線の楽しくポップなRPGファンタジー。
なんですけど、窓口節は健在。
狩ったモンスターを捌いて料理して食べる、狩猟漫画というか料理漫画というかグルメ漫画というか、という、SF作品では見られなかった描写が入りますが、さすが、と言うべきなのかw 作業の手際が良く、できた料理も美味しそうw
宇宙SFからRPGファンタジー世界観に、作品の舞台を移していますが、
「細部に至るまで精緻に空想し、細部に至るまで精緻に描写する」
業前は相変わらず。
「Think globally, act locally」ではないですけど、スケールでかく空想された世界で、半径数メートルの細部にこだわった小さな物語をやっている、というか。
自分が神様だったら、この作者に無限の時間を与えて、この世界の隅から隅までを描いて欲しくなります。
というか、作中でもルディの製作武具の「プレゼン」「営業」「カタログ」の話が出てきましたが、この作品自体が作者の空想力と描画力のプレゼンのような作品にも見えてきますねw
ヒロインのルディ、失敗から学んでちゃんと次に活かして成長していく職人の資質もさることながら、まるで作者自身が憑依しているかのように、
「あれも創ってみたい、これも創ってみたい」
と発想が豊かで、そのことにルディ自身がワクワクしている様子が、
なんとも微笑ましく、そして頼もしい。
なんか「創りたい」で溢れているルディと、作者のイメージ、似てんねw
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