表紙詐欺w
少年ジャンプが誇る天才・冨樫義博によるバトル冒険譚。
連載開始は1998年と古く、『ONE PIECE』連載開始の翌年(約半年後)のことでした。
作品中盤以降、休載が多く単行本の巻数は『ONE PIECE』の半分以下、もうすぐ1/3になろうかというところ。
前巻の発売日が2022年11月なので2年ぶりの新刊。その前は4年ぶりだったので、間隔が半分になりました。
主人公の少年・ゴンがハンター試験をクリアし念能力を修めなんじゃかんじゃあった挙句に、ゴンが全く登場しない、暗黒大陸に向かう船旅の中でのカキン王国の王位継承戦。単行本では暗黒大陸編が始まった32巻も含めて7冊目、12年目。
王位継承戦の風呂敷をまだ拡げてる?段階で、現時点で読んでそんなカタルシスがあるもんではなく予想も不可能。書く事がないので登場勢力の整理をするけど、それぞれの勢力に個別の意志と能力を持った更に大量の重要人物が含まれ、複数のエピソードが絡み合いながら同時進行。
●十二支んを中心としたハンター協会
:ジンとパリストン脱退、レオリオとクラピカ加入、猿が裏切り者らしい
●ビヨンド・ネテロとその一味: 協会がビヨンド拘束中、ジンとパリストン加入
●カキン王: 王位継承戦を主催
●カキン王国軍
●カキンの14人の王子: 各自念獣付き、1名死亡済み
●王子達の各私設護衛団: クラピカ他、協会のハンター多数
●幻影旅団: 何人か死んでイルミとカルトが加わって現在10人
●カキン三大マフィア: それぞれ三王子と繋がり有り
●正体不明の連続殺人犯
●ヒソカ: 何の用かわかんないけど船に乗ってる
●ゴン: 登場する気配もないけど一応主人公なので
俯瞰すると
・デスゲームのプレイヤーである王子たちとその護衛たち
・プレイヤーでありながら盤の内側からデスゲームの盤そのものを壊しにかかるクラピカ
・盤の管理者であるハンター協会
・盤外で幻影旅団とヒソカとマフィアが場外乱闘中
の4軸ぐらい。
要するに『ハンター』世界観(念能力世界観)を利用した「冨樫版デスゲーム」なんですけど、作中でも複雑な条件を満たして発動する「特質系」念能力のスキルがありますが、作品として「特質系」という感じ。
MOBの一人一人が超長文のモノローグを吐き散らかす複雑な前提条件を、読者が読みこなし理解しないと、物語としての感動が発動しない構造。
自分はジャンプに連載掲載されてるところを追っかけてるので今巻の内容は既読でした。
なので新刊もそこまで楽しみにはしていませんでした。
なによりそんな面白い巻でもないし、「まだ」。
正直、全然わからない。俺は雰囲気で『HUNTER×HUNTER』を読んでいる。
わざとやってんのか、というより、わざとやっているに決まっている、ジャンプ編集部が新人相手に「やるな」と口すっぱく言ってるであろう、
・多すぎるキャラ、同時に登場しすぎる新キャラ、多すぎる勢力
・長すぎて多すぎて複雑すぎるセリフ群
・複雑すぎる異能力
・複雑すぎる状況
・複線すぎる物語展開と多すぎる場面転換
読みにくい、頭に入らない、面白くない、2年も待ったのに!
にも関わらず、自分は「これで良い」と満足しています。
「まだわからなくていい」
「まだ面白くなくていい」
というか。どんな漫画や。
自分最近、マイカー買って乗って車載動画をYouTubeにアップしてて、最初のうちは視聴者の見やすさとかPV伸ばすとか気にして、動画の尺15分〜30分ぐらい、なるべく短めにしてたんですけど、段々そういうのどうでもよくなってきて、最近は再生時間3時間の動画とかアップしてます。
youtu.be
ほとんど誰も観ません。
YouTubeで飯食ってるわけじゃなし、視聴者のご機嫌うかがうよりも、自分が撮りたいように撮って編集したいように編集して、他人じゃなくて自分が観たい動画でよくね?っていう。
ほとんど視聴されない泡沫動画と、漫画界を代表する天才の大ヒット作は、もちろん全然違うんですが、「ヒットの法則」に制約される理由がもはやない、という意味では共通してんのかな、と思ったりします。
創ったアイデアやプロットやネームを(見やすくわかりやすい商品にするために)「削る」という、商業漫画で当たり前になった営為を、放棄しているように、自分には見えます。
『HUNTER×HUNTER』が、冨樫義博が、これまで魅せてくれた感動の貯金というか、
「今は面白くないけど、どうせ後で面白くなるし、そのために必要なパーツが描かれているのだろう」
という信頼値みたいなのもあるんですけど、それが冨樫先生が本当に描きたいように描いた結果だったのか、編集がコントロールした結果だったのか、自分にはよくわかりません。
ただもう、セールスとか読者の反応とか気にせずに、冨樫先生が面白いと信じることを、描きたいことを描きたいように描いてくれたら、自分はそれを見てみたいと思います。
まあ、そう言いながら、冨樫先生、趣味でやってる泡沫YouTubeおじさんじゃなくて、国内一の商業少年漫画誌の大看板作家ではあるんで、
「どうせ後々面白くなるだろう」
と勝手にどうしても思ってしまうんですがw
aqm.hatenablog.jp