表紙はパルス王国王妃タハミーネ。
「重要そうでいてどうでもいいキャラ第1位」
というイメージ。
田中芳樹の高名なファンタジー戦記を荒川弘がコミカライズという鉄板漫画。
原作リスペクトの強い忠実な構成、大量の主要登場人物の描き分け、描くのが大変ながら労を惜しまない会戦の描写と、相変わらずコミカライズにあたってこれ以上ない「当たり作画」。
原作でいうと第一部の終盤、原作全7巻の7巻相当ぐらい、『王都奪還』あたり。
虜囚の身から自力で脱出し、救国の軍を起こした息子の軍勢に合流したアンドラゴラス王に「兵力5万を集めるまで帰参するにあたわず」と追放されたアルスラーン王子。
彼を慕って軍を脱出した少数精鋭・一騎当千の部下たちと訪れた港町ギランで海賊や悪徳領主を制圧。
一方、アンドラゴラス率いるパルス軍はペシャワール城を進発、王都エクバターナに向かって進軍を始めた…
ということで、今巻はアンドラゴラス軍とルシタニア軍が平原で激突、暗躍するヒルメスや力を蓄えたアルスラーン軍は漁夫の利の間隙をついて王都へ向かう。
「風は王都へ」という感じで全ての勢力が決着を求めて王都に集まりつつ、というところ。
連載始まった頃は「このペースでコミカライズなんて第一部終わんのに何年かかるんだ」と思ったものですが、終わりが見えてきましたね。
遠い先のことだと思ってましたけど、コミカライズの第一部も最終決戦展開を残すのみ。
第二次アトロパテネ会戦も戦勝し、侵略者ルシタニア軍は事実上崩壊、王都エクバターナを舞台にアンドラゴラス、ヒルメス、イケノンティス王などとの決着を残すのみ。
タハミーネとの会話で王家の継承者たる資格を持たないことを知ったアルスラーンは、新王朝の開祖たるを望み、英雄王カイ・ホスローの承認の証「宝剣ルクナバード」を求める。
しかし、一行の行手に暗黒の陰が現れる…
昔の原作小説で、中世が舞台のファンタジー作品なんで、しょうがないんですけど
「王になるのに英雄王カイ・ホスローや宝剣ルクナバードなどの権威の承認が必要」
というのも、展開としてちょっと古臭く感じますね。
作中、ギーヴの言うとおりというかw
そのせいなのか、原作から改変、アルスラーンが宝剣ルクナバードを鞘から抜けません。
原作小説ではヒルメスとの対峙はルクナバードをもってしてたと記憶してるんですけど、まあ人間相手にはチートアイテムですし。
勇者ヒンメルも伝説の剣を抜けませんでしたし、
「権威による承認やチートアイテムの贈呈に頼らずに、実力勝負」
が近年のトレンド、という感じはします。
普通にやれば次巻で第一部完結、というところですが、
第二部展開とのミクスチャで蛇王関連も一気にカタをつけて完結、そのためにもう数冊かかるのかな、という。
aqm.hatenablog.jp