『MFゴースト』は『頭文字D』と同じ世界観。
あっちが基本的に90年代を舞台にした作品であるのに対し、こっちは202X年が舞台の続編という位置づけです。大体20〜30年後?という感じ。前作の登場人物たちがおじさんになって脇役で大量に登場。
前作主人公の藤原拓海も、本人は登場こそしないものの、主人公の師匠としてやたら名前がたくさん登場。
国産車での公道マッチレース(脱法)だった前作に対して、今作は海外製のゴージャスなハイエンドスーパーカーが公道グランプリレース(遵法)を繰り広げるという、クルマ好きには眼福な作品。
レースシーンパートは基本的にはクルマがグルグル走って解説やドライバー自身がブツブツ言ってるだけの漫画なので、そういうのが苦手な人はやめときましょう。
かっこいいレースシーンと、小出しにされる大ヒット作『頭文字D』のキャラ達の気になる後日談、この2つの撒き餌に寄ってきた硬派な読者たちに、作者の個人的な趣味嗜好であるところのラブコメを無理やり読ませるという、訳のわからない漫画になってきましたが、現にレースシーンはかっこいいし、藤原のその後は気になるし、個人的にはラブコメも大好物なんで全然構いませんがw
俺は一体何を読まされているんだ。
シーズン、残すは最終第5戦のみに。
作品の縦軸が表に裏に複数、
・公道レース「MFG」の年間シーズン(全5戦→4戦を消化)
・主人公・カナタとメインヒロイン・恋のラブコメ
・主人公・カナタの今シーズン終了後の身の振り方(英国に帰国? 日本に残る?)
・メインヒロイン・恋の今シーズン終了後の身の振り方(遠恋? 渡英? 進学? 芸能デビュー?)
・前作主人公・藤原拓海の影(今作で登場することはあるのか)
・高橋涼介が設計・設立した公道グランプリレース「MFG」の真の目的
この第5戦の見どころとしては
・最終戦にきてのベッケンバウアーのスランプ
・もう一人の「86乗り」、新キャラ・舞は何のために登場したのか
・第5戦の解説・高橋啓介が語るMFGの本質
などなど。
実は、
・高橋涼介が設計・設立した公道グランプリレース「MFG」の真の目的
・第5戦の解説・高橋啓介が語るMFGの本質
については、前作『頭文字D』の最終巻に、ほとんど答えみたいなヒントが既に描かれていました。
高橋涼介の目的は『頭文字D』の中盤以降ずっと、
「世界に通用するドライバーを公道から育てること」
です。
そして今巻、生中継の解説を努める弟・高橋啓介が小出しに語り出した言葉を薄目で見つつ次巻予告も目にすると、「MFGの本質」もなんとなく見えてきます。
MFGのレギュレーションの本質は、おそらく「優れたFR(&MR)乗りの育成の場」です。
本作で「追い抜かれる側」の中堅・ベテランキャラのクルマは、
・相葉 日産GTR R35(AWD)
・大石 ランボルギーニ・ウラカン(4WD)
・坂本 アウディR8(4WD)
・前園 ホンダNSX(4WD)
など、AWD(4WD)のハイパフォーマンスなクルマが多い(石神のポルシェ911派生シリーズ(RR)、赤羽のフェラーリ488GTB(MR)などの例外もいる)んですが、
本作で成長が描かれる若いキャラのクルマは
・カナタ トヨタ86(FR)
・ベッケンバウアー ポルシェ・ケイマンシリーズ(MR)
・八潮 ロータス・エキシージ/エミーラ(MR)
・北原 アルファロメオ4C(MR)
・諸星 トヨタGRスープラ(FR)
・舞 トヨタGR86(FR)
と、必ずFRかMRなんです。
そう考えると、ベッケンバウアーが911系でなく敢えてケイマン系なのも、なぜ今更スランプに陥り初心に帰ってるのかも説明がつくし、
「最終回の後」のカナタ、ベッケンバウアー、舞の「身の振り方」も、なんとなく想像がついてきます。
おそらく、高橋兄弟の「公道最速理論」の一端は、
「公道で究極に速く強い車はAWD(4WD)である」
「公道で究極に速く強いドライバーはMT+FR(or MR)育ちである」
「従って、公道で究極に速く強いのは、MT+FR(MR)育ちが駆るAWDである」
じゃないかな、と思います。
『頭文字D』でずっとFRで戦い続けてきた啓介に対し、同じくずっとFRで戦い続けてきた拓海(≒作者)が、最終話の1話前のプロジェクトD打ち上げBBQで酔った勢いでポロッと本音を言ってしまっていました。
たぶん、「涼介の理想」=「作者の理想」は「FR育ちの最強のAWD乗り」で、期せずしてそれを体現していた前作主人公・藤原拓海を再現することがMFGの目的なんじゃないかなあ、と。
『頭文字D』本編の最後のシーンも、拓海がインプレッサWRXで峠を走るシーンでしたもんね。
aqm.hatenablog.jp
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