『東京入星管理局』、『冒険には、武器が必要だ!~こだわりルディの鍛冶屋ぐらし~』の窓口基の、
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新作、というよりは、あとがきによると
「コツコツ描いてたら1巻が出ました!やったー!」
とのことです。すごい精力的に新作出すなあ、と思ったわw
怪談の、噂に尾ひれがついて強化され拡散され、噂は力を持って実体化し、「生き噂(ウォーク・ロア)」となって、人間に害を及ぼす。
厚生労働省 国立超常研究所の調査員(学生バイト)の女子高生・挫十字からめ(ひしじゅうじ からめ)は「噂殺し(ロア・ハンター)」として、日夜、怪異と化した噂の退治に勤しんでいた。
ある日、からめが駆けつけた現場で「生き噂」に襲われかけていたMOBと思しき女子高生は、からめが救おうとした刹那、
しかし、「生き噂」に話しかけ、「生き噂」の懐に入り込んで友達になり、「生き噂」の願望を満たしてしまうことで無害化してしまった。
「生き噂」に襲われかけていたMOBと思しき女子高生の名は、多良さん。
ただの一般人の陽キャなギャルだったが、天然で天真爛漫で好奇心旺盛な「人たらし」で、天然の「怪異たらし」だった。
それ以来、からめが「生き噂」退治に向かう先で偶然ばったり出会う多良さんは、毎回からめの眼前で「生き噂」と友達になっては、拍子抜けするぐらいあっさりと怪異を無害化してしまうのだった…
という、怪異ハンターと「怪異に優しいギャル」のバディ未満もの。
「人の思念や噂(主に恐怖)が怪異を強化する」のは『チェンソーマン』の悪魔のようでもあり、そうした怪異に力で対抗・討伐するよりその願望を満たす形で祓うやり方は『化物語』のようでもあり、天然で優しい純粋さがそうさせるのは『千と千尋』の千尋と「御腐れ様」の関係のようでもあります。
「先行作品の何かに似てる」というよりは、「八百万の神」「付喪神」「祟り神」の国の、神と怪異が表裏一体の伝統的・普遍的な世界観、という気もします。
『東京入星管理局』の感想に
なんというか、設定や作劇の思考のスタート地点が「主人公が悪い宇宙人をどう捕まえるか」じゃなくて、「どんな宇宙人になりたいか」「その宇宙人になったら地球でどんな犯罪をやりたいか」をまず考えて、それに対してようやく「じゃあ主人公たちはその宇宙人をどうやって捕まえるか」を考えてるように見えます。作者の過去の同人作品からの偏見かもしれません。
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と書いたんですが、本作も作者の作劇の視点が明らかに人間ではなく、怪異たる「生き噂(ウォーク・ロア)」に寄っています。
「自分が●●な怪異(陰キャの極北)だったとして、ギャルJKになんて言われたら嬉しいか」
「自分が●●な怪異だったとして、ギャルJKになんて言われたら友達になるか」
近年の(主に男性向け)漫画における「ギャル」の役割は
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かな、と思うんですが、その極北の一つかもしれませんw
ギャルの優しさ、怪異をさえも「ここではないどこか」へ。
満を持しての新連載!というわけでもない作品の経緯のためか、重厚な世界観設定が売りの過去作とは対照的に、肩の力が抜けているというのか、怪異サクサク登場、からめサクサク現着、多良さんサクサク怪異に襲われつつサクサク友達になって、サクサク無害化、エピソード完結、という、非常にテンポ良く軽いエピソード進行。
即オチ2コマ漫画みたいw
厨二病世界観デザインのハンターからめのかっこよさと拍子抜けのギャップ、多良さんの天然ポジティブ陽キャな天真爛漫な軽さ、バディヒロインが二人とも軽妙で可愛いらしい。
千尋と同じく多良さんの「怪異たらし」は、まだ畏れを知らない子ども故の純粋さ故で、古代は神様と子どもの距離が近かったのかもしれない、と改めて思う反面、多良さん、このまま大人になりそうというか、たまにこういう大人いますよねw
妖怪ハンターもので、妖怪の願いを叶えるエピソードがたまに混じることは過去作品群でも決して珍しくはなかったんですが、ここまで「力勝負」「バトル」「直球勝負」を避ける妖怪ハンターものは相当の変化球。
「怪異に優しいギャル」多良さんの「怪異たらし」が小気味よく、「他にどんな球種を持っているのかな」と続きが楽しみになります。
しかしこう、
「陰キャ(オタク)に優しいギャル」という存在そのものが、漫画界において「フォークロア化」「都市伝説化」している最たるものじゃないか
という気もしてきますねw
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