#AQM

あ、今日読んだ漫画

#スーパーカブ 10巻 評論(ネタバレ注意)

自分は漫画を描かないし描いたことないし漫画家として商業誌デビューする予定もないんですが、

「モノクロの漫画を描くプロを目指して研鑽した身が、

 『単行本の表紙用にカラーイラスト描いてくれ』

 と急に言われて、塗りの練習なんかしてないのに、

 そんなすぐにカラーイラスト描けるものなんだろうか?」

と、自分にまったく関係ない他人事ながら、たまに不安にかられます。

『スーパーカブ』10巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

その点、この作品の表紙のスタイルの存在は安心感を与えてくれます。

万が一自分が将来、商業漫画家として単行本デビューする際は、マネさせてもらおうw

父親は事故で他界、頼れる親戚もいないところに母親に失踪された大人しい女の子が通学用に中古のスーパーカブを買って乗る話。

1巻冒頭で出てくる「日野春駅」をググると、舞台は山梨県北杜市らしい。

『スーパーカブ』10巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

原作は角川スニーカー文庫、小説の表紙絵は「明日ちゃんのセーラー服」の人。

このコミカライズの人も、デビュー作より気持ち絵柄を原作表紙の人に寄せてていい雰囲気。

ヒロインたちも高校3年生になり、進路が気になる、というより「進路を気にしろ」と時間にせっつかれるお年頃。

奨学金による東京の大学への進学も内定。

『スーパーカブ』10巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

特待価格で設備と環境の整った大学寮の斡旋は、バイク禁止だったことから蹴っ飛ばして、更なる自立とカブとの生活を選んで、大学入学前の高3の身で食い扶持を自分で稼ぐ自活の道へ。

働いて稼ぐことは決して楽なことではないですが、腹を括って動き出した小熊、あとはバイク便のバイトの勤しみつつ、高校卒業と大学進学・東京への引っ越しを待つだけ…

かと思ったんですが、今巻は高校で懇意にしている後輩からの相談事。

生来の虚弱な体質で、日々の学校への通学だけで体力を使い果たして寝込み、家に引き篭もりがちな後輩。

『スーパーカブ』10巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

しかし彼女は小熊のようにタフになりたいと願い、そして彼女の家の蔵には祖母から受け継いだものの動かなくなった小さなバイク「モトラ」が眠っていた。

彼女の願いを意気に感じ、また何よりバイクに目がない小熊と礼子は、自分たちと同じくバイクを杖に人生を歩むことを望む彼女の願いを叶えるべく、動かなくなった小さなバイクの「起こし(修理・レストア)」の臨むのだった…

という、他人に構う余裕はそんなにないはずながら、バイク沼に臨んで飛び込んでくる後輩の願いを無碍にできるわけもなく、世話焼き編。

『スーパーカブ』10巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

彼女たちはいわゆる「バイク部」ではないんですが、小熊と礼子の卒業と進学・引っ越しの後も、バイクにかけた想いがバトンタッチされていきそうな気配。

バイクやクルマみたいなパーソナルな乗り物って、「ここではないどこか」に繋がって連れて行ってくれる扉であり鍵、みたいなとこありますよね。

強くなった小熊が「いつかの自分」な他人を支え与える側になっていることも感無量ですが、想いを継ぐ者へのバトンタッチ展開は、否応なく卒業や作品の完結を予感させて、

『スーパーカブ』10巻より(蟹丹/トネ・コーケン/KADOKAWA)

少々寂しくもありますね。

 

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