現代から少し未来?、何らかの理由で科学が衰退?した代わりに、巫覡(ふげき、シャーマニズム)によって?それまで見えていなかったものが視えるようになった?世界。
それまで「天災」としか認識されていなかった現象が、神(あるいは化物?あるいは妖怪?)の怒りの顕現であることが、暗闇を伴って人間に視えるようになった。
「夜」と呼ばれるようになったソレと、人類は科学技術に替わる新たな技術体系・巫覡(など?)で闘う。
大英帝国の第3皇子・ガオは、英国・イーストボーン、オルドナス要塞での「颱の夜・キャサリン」との戦闘から、母に逃がされる形で脱出。
母の最期の言葉に従い日本に向かったSF宇宙艦風の武装タンカー艦は、しかし、颱の夜の追撃を受けて田舎の平野部に不時着。
そこで出会ったのは、理不尽を引き寄せる「巫覡魂」という霊質と強い巫覡力を持ち、怒れる神を祓う「燠火の神楽兵」の巫覡(パイロット)を務める少年・仭(じん)と、その仲間の少女たちだった。
艦の不時着事故が仭の母親を死なせてしまったガオ一行は、そのまま日本に居つき、仭たちの高校に通いつつ、仭たちと共に次々に現れる「夜」と闘っていく…
オリジナルの用語と設定の上に更にオリジナルの用語と設定が積み重ねられ、「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」みたいになってて意味がわからないかもしれませんが、まとめるとこういう感じです。
絵が綺麗!女の子可愛い!絵がもの凄い!バディもの!神楽の舞がかっこいい!田舎の夏!青空!入道雲!美少女!フェチ!猫!変なギャグセンス!絵がもの凄い!
でとりあえず楽しんで良いかと思います、まだ。
前作『化物語』コミカライズに続いて「オカルト・バトル」分野ですが、「災害」を受肉・顕現させて折伏・調伏すべき敵?に定めているのが、大震災などを経た21世紀的、と言っても良いかもしれません。
あと主人公の少年2人とも、直近に母親を喪失してますね。
前巻の感想で
この作品は人を選ぶと思いますが、自分は面白かったです。
でも理解ってるかというと、全然理解ってないですw
分野として競合する現役作品は…『チェンソーマン』や『ダンダダン』あたりになるんですかね?
と書いたんですが、2巻になって、世界観のシステムや、それに対する「巫覡」の思想や仕組みも、言葉だけでなく美麗なアクションを伴う、読者に対するチュートリアルのようなエピソードもあいまって、だいぶ雰囲気を理解できるようになりました。
西洋的で物質的で電子的で戦闘的な世界観思想の限界、再興する東洋的で精神的で量子的で融和的な世界観を目指す思想。
近年は「スピリチュアル」というと悪用する人間のせいで少々イメージ悪いですが、「言魂(言霊)」「厄」「荒魂」「祟り」「鎮めと祓い」「舞・神楽」、「神道的」と呼んでいいのかな、そういう感じです。
この作者のもとの作風を自分は知らないのでアレですが、コミカライズ作画した前作『化物語』の作品テイストの
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因子の発展形にも見えます。
「邪と戦うのではなく、鎮め祓う」
東洋的なファンタジーは往々にして精神的な禅問答に行き着いて、漫画映えしにくいことがあるんですが、バトル描写の代わりに本作で描かれるのは大暮維人の作画による、美少年・美少女たちによるド派手で美麗な「舞・神楽」描写!
前巻の感想にこう書きましたが、
ちょっと『ジョジョ』5部のギャング・ダンスを彷彿とさせる描写、「巫覡と神楽」に絡めてミニスカ女子高生をフェティッシュに踊らせる良い口実になっていて、かっこ可愛くて眼福。
今巻更に「舞・神楽」の描写が激増して、眼福なことこの上ない。
「ダンス漫画」とカテゴリしても差し支えない、というより、ダンス漫画の「ムラサキ」が神事の再現としての側面が描かれたのに対し、
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本作はファンタジーを口実にダンスを直球の神事そのものを描いてます。ずるいなw
アニメにすんの、振り付けと作画・動画的な意味で、大変だなコレw
各エピソードも、上記のような要素を盛り込みつつも、大量にいる美少年・美少女たちに一人ずつスポットを当てた青春期の成長物語を織り込んだものになっていく、のかな?
まだ実質一人目なんですけど、今後、全員分やっていくんだとしたら楽しみですね。
夏休み映画のような牧歌的で美しい田舎を舞台に、SFメカとオカルトクリーチャーがカオスに共存、エロ美しい美少年・美少女たちがド派手に美麗に舞い踊る、オカルトバトル&ダンス、大暮維人の筆によるエンタメ大作な王道青春漫画。
大量の登場人物、スピリチュアルでカオスで作者の匙加減次第の世界観、序盤で「絵は綺麗だけど厨二病的で難解で衒学的でごちゃごちゃしてて何やってるかよくわかんない作品」と受け取られ「ついていけない」と敬遠されかねない危惧は感じます。
タイトルからしてパッと見、漢字が読めませんw
それらを補うべく硬軟の展開とビジュアルで開幕からフルスロットルのこの作品の、しかし本領はずっと先でしょう。
それを見てみたいし、10年20年がかりでずっと見ていたい。
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