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あ、今日読んだ漫画

#同志少女よ、敵を撃て 1巻 評論(ネタバレ注意)

『同志少女よ、敵を撃て』(どうししょうじょよ、てきをうて)は、日本の小説家逢坂冬馬の小説である。第11回アガサ・クリスティー賞を受賞したデビュー作。第166回直木三十五賞候補に挙がり、2022年本屋大賞及び第9回高校生直木賞を受賞。

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とのことで、そのコミカライズ。

原作小説の発表は2021年。自分は原作未読です。

「高校生直木賞を受賞」って、作者は高校生なのかと思ったら、「高校生が選考する文学賞」なんだそうです。

史実の戦争をベースにした歴史フィクション、でいいのかな。

作中に登場するソ連やナチス・ドイツはもちろん、作中で言及されるソ連の女性スナイパー、リュドミラ・パヴリチェンコも実在の人物。

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リュドミラ・パヴリチェンコのWikipediaの記載によると、

第二次大戦において赤軍は約2000人の女性スナイパーを戦場に送り込んだが、パヴリチェンコのように終戦まで生き残れたのはその内の500名に満たないとされる。

とのことです。

1942年、ソヴィエト連邦、イワノフスカヤ村。

『同志少女よ、敵を撃て』1巻より(鎌谷悠希/逢坂冬馬/速水螺旋人/早川書房)

村で暮らす少女・セラフィマ(18)は、農場を鹿害から守るために猟銃を手に鹿狩りをしながら育ち、学業にも長じてモスクワの大学への進学が決まっていた。

そんなある日、敗走中に迷い込んだナチス・ドイツ軍の小隊が乱入、村は蹂躙される。

駆けつけたソ連軍によりセラフィマ自身は救出されたものの、彼女の家族を含む村は全滅。

戦略上の理由からソ連軍は村に火を放って焼き払い、ソ連軍の女隊長は家族や村人を喪ったばかりのセラフィマに

「戦士として戦うか、敗北者としてこのまま死ぬか」

を迫って叱咤し、嘲り、罵る。

『同志少女よ、敵を撃て』1巻より(鎌谷悠希/逢坂冬馬/速水螺旋人/早川書房)

復讐のため戦うことを選んだセラフィマは女隊長に連れられ、軍の施設へ。

そこは家族をナチス・ドイツに殺された若い女性ばかりが集められた、「中央女性狙撃兵訓練学校」、女スナイパー養成所。

女隊長はかのリュドミラ・パヴリチェンコの相棒を務め98人の敵兵を射殺する武勲を挙げたものの、負傷により前線を退いた伝説の女狙撃手、イリーナ・エメリヤノヴナ・ストローガヤ上級曹長、教官だった。

セラフィマの、赤軍狙撃兵、戦士としての日々が始まった…

という戦記もの。

『同志少女よ、敵を撃て』1巻より(鎌谷悠希/逢坂冬馬/速水螺旋人/早川書房)

「女だけの部隊」、いかにも作り話っぽいし、「家族を殺したドイツ軍への復讐」が動機の作品も既視感あるんですけど、大戦中のソ連はこの手の話がゴロゴロ転がってるっぽいですね。

「ソ連、なんでこんなに女兵士多いん」

と現代日本の価値観からするとちょっと違和感というか不思議にすら感じますが、この作品はその辺も触れていく感じっぽい。

アレですかね、「男女平等で進歩的だった」面が全くなかったとは言いませんけど、「女も総動員すれば兵力2倍」感が強いですけども。

『同志少女よ、敵を撃て』1巻より(鎌谷悠希/逢坂冬馬/速水螺旋人/早川書房)

敗色濃厚となる以前の戦争中期まで「銃後」だった当時の島国・日本と違って、開戦と同時に国土を侵略され身近に犠牲を出した大陸の女性たちの復讐心や愛国心に、国が乗っかったというか、日本における「銃後を守れ」の国家的・社会的な圧力の看板が「銃をとれ」に変わっただけのようにも見えます。

ただ、新聞やラジオで見聴きする政治的な理由を介しての戦争の理由と、生身の「殺された家族の仇を討ちたい」という理由では、動機やプライドの強さも全然違うでしょう。

展開や描写自体は、むしろ少女漫画的ですらあります。

イリーナ教官のしごきは『ガラスの仮面』の月影先生みたいだし、「若い女ばかりのスナイパー養成所」の雰囲気は、個性豊かな少女たちの才能とプライドがぶつかり合い支え合う、「学び舎に集う乙女たち」、歌劇団の養成所が部隊の『かげきしょうじょ!』みたいな雰囲気も。

1巻は厳しいながらも訓練過程で終わるので、まだ「戦争」してないですしね。

ただ女優を目指すそれらの作品と違って、この作品のヒロインはどれだけ努力と研鑽を重ねて才能が開花したとしても、今のところのゴールは

「生き残ること」

「たくさん殺すこと」

です。

『同志少女よ、敵を撃て』1巻より(鎌谷悠希/逢坂冬馬/速水螺旋人/早川書房)

エンタメ漫画作品としては、暗く重たい独ソ戦はテーマとして割りと鬼門な印象で、原作なしで少年ジャンプに載せたらすぐ打ち切られるテーマだと思いますが、本作は既に評価の高い原作小説があって、出版社も早川書房、レーベルは「ハヤコミ(ハヤカワ・コミックス)」とのことで、少しは安心して完走を見守れそうかな?

うちのブログで「ハヤコミ」の作品を取り上げるの、もしかしたら初めてかも。

「続きが楽しみ」とは口にするのが憚られるジャンルですが、必ず続きを読みたい作品。

どこかのタイミングでものすごく先が気になったら、我慢できずに原作小説をラストまで読んでしまいそうですが、今のところ、おとなしく2巻を待とうかな、と。

『同志少女よ、敵を撃て』1巻より(鎌谷悠希/逢坂冬馬/速水螺旋人/早川書房)

1巻は重要な巻ですが、テーマ的にもこの作品の「サビ」はもう少し先なのかな、と。

 

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