
動物たちと三頭身の小人(こびと)たちが、互いに言葉を通じ合って社会を形成して暮らす、童話のような世界観。

『ハクメイとミコチ』13巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)
で、一緒に暮らす2人の女の子を主人公にした日常もの。
アニメ化済み、前巻からきっちり1年後の13巻。
今巻で100話到達、第99話から第108話を収録。
童話やお伽話に喩えるには生活感がありすぎるけど、その生活感の醸し出す詩情、特に手慣れた料理と食事風景の描写は特筆もの。

『ハクメイとミコチ』13巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)
一コマ一コマがまるで絵葉書のように美しく、想像力を掻き立てられる背景。
「ストーリーもの」か「日常もの」かと問えば、エピソードが積み重なり思い出として連続しているものの、キャラの置かれた状況が各話ごとにほとんど変わらず、「最終目標」も持たない「日常もの」です。
ただし、日常に流れる小さな物語をこれほど浮かび上がらせる、毎話ごとのストーリーをこれほど抒情的に意識させる「日常もの」も滅多にないでしょう。
見落として忘れてしまうそうな小さな物語の連なりや積み重ねが、彼女たちの、私たちの日常を形作っている。

『ハクメイとミコチ』13巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)
散らかったコンジュの部屋で彼女と一緒に失せ物を探していたハクメイとミコチ。お目当てを見つけた頃にはとっくに夜も更け、2人はコンジュの部屋に泊まることに。「窮屈な夜」。
旧知で劇団主宰のカーネリアンの依頼で、ピンチヒッターとして舞台役者たちのヘアメイクをすることになったジャダ。劇団員たちのヘアメイクは普段の客とは一味も二味も違うものだった。「美容師と劇団員」。
ハクメイとミコチは路地で小さな食堂が閉店しているのを見かける。二人はあやふやな記憶から、少しずつ食堂の思い出を掬い上げていく。「思い出せない店」。
図書館の司書一行は、青空図書館を開催。いつもとは勝手がちがってトラブル続出、悪戦苦闘する司書たち。「司書と青空図書館」。
シュンカのバー「いかさまハルツ」の軒先の路上で泥酔して大の字で寝ている旋毛丸。起こされた旋毛丸は、幼い頃から蜂蜜館で姉弟のように育ったシュンカのお使い仕事に付き合わされ、旧交を温めることに。「水瓶と姉弟」。

『ハクメイとミコチ』13巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)
沼で菱の実を見つけたセンは、バッタリ出くわしたミマリにお裾分けしてあげたいが、人見知りが災いしてなかなかソレを言い出せない。「菱のお裾分け」。
行商から鰯をまるのまま買ったミコチ。ハクメイとの二人暮らしでは量が多すぎる鰯を、日持ち・保存が効くよう、何種類にも分けてテキパキ調理していく。「作り置きと昼飯」。
ハクメイの出張で珍しく一人の一日を過ごすことになったミコチ。手すさびに家事に精を出そうとするも、油断するとダラダラしてしまう…。「ひとりきりの時間」。
マキナタの街には存在しない巨大生物・牛に突然興味を持ち、図書館で牛に関する書籍を読み漁るイワシ。あまりにも牛に夢中なイワシに対し、ハクメイとミコチは「牛を見にいく旅」に誘う。「牛の大きさ(前後編)」。

『ハクメイとミコチ』13巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)
バーの綺麗なお姉さん・シュンカのエピソードの他、珍しいミコチのポニテも2回見られて眼福な巻。
ミコチが可愛い話が多く、出番の多かった彼女に絡んで料理が美味しそうな話が多かった気がしますね。
ふだん自分の欲求や願望をあまり表に出さないイワシの、今巻はなんでしょうねw
普段マキナタでは「デカい方」な分、あまり経験のない「よりデカい奴」に対する新鮮さや憧れが炸裂したのかなw
相変わらず「所帯じみた詩的」とでもいうか。
暮らすこと、営むことの美しさ。

『ハクメイとミコチ』13巻より(樫木祐人/ KADOKAWA)
いいなあ、この街の住人になってみたいなあ。
せめて枕の下に単行本を敷いといたら、ハクミコの夢とか見れたりしないだろうか。
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