
自営業の町の古本屋、「古本十月堂」。
脱サラした青年が6年前に開業。

『本なら売るほど』1巻より(児島青/KADOKAWA)
いろんな本、いろんな客、いろんな買取、いろんな販売、古本屋をめぐる日常と人間模様。
というハルタ連載の「古書店もの」漫画。
「古書店もの」と呼んでジャンル扱いするほど、作品が多い分野ではないかもしれないですけど。
aqm.hatenablog.jp
『百木田家の古書暮らし』の感想でも書きましたが、
「勤め人をリタイヤして趣味の延長マインドで悠々自適に古書店経営」
は、世俗と隔絶された「晴耕雨読」イメージというか、読書家や人文系オタクが憧れる「最後の職業」、シチュエーションの一つですね。

『本なら売るほど』1巻より(児島青/KADOKAWA)
たぶん「そんなに楽ではない」んだろう、「世知辛いことも多い」んだろうな、とも思うんですが。
本作は縦軸となるミステリー要素やラブコメ要素も今のところなく、純粋に「古本屋を巡る人々」の日常ものとして描かれます。
世知辛いこと、それでも本に関われて嬉しいこと。

『本なら売るほど』1巻より(児島青/KADOKAWA)
不動産屋からの依頼は、一人暮らしで亡くなった大変な読書家・蔵書家の老人が遺した、充実した書庫から自由裁量でチョイスしての古書買取だった。「本を葬送(おく)る」。
買い取った古本に何枚もの一万円札が挟まっていたことに気がついてしまう。「コーヒーにこんぺいとう」。
常連の読書家の女子高生は、十月堂におすすめの作家を尋ねるが…。「アヴェ・マリア」。
マンションの一室を「読まない本」数千冊を収める書庫にするためにDIYで本棚を作る男と、手伝う男。「201号室入居者あり」。

『本なら売るほど』1巻より(児島青/KADOKAWA)
十月堂で『半七捕物帳』を購入した着物の女は、病院の待合室で粋な老婦人に出会う。「当世着倒気質(とうせいきだおれかたぎ)」。
古本屋「岡書房」は老店主の引退に伴い40年掲げた看板を降ろすことに。その最後の日々に常連となった二人の青年。「さよなら、青木まりこ」。
私自身も蔵書はすっかり電子に移行、紙書籍の購入もAmazonに頼るようになって、書店・古書店に足を運ばなくなって久しいです。
古書店経営をめぐる状況は楽観的なものではないでしょう。

『本なら売るほど』1巻より(児島青/KADOKAWA)
それ以外にも、本をめぐる商売で様々な世知辛さが描かれる作品。
それでも暗くならないのは、根源的に「好き」で回ってる商売ゆえでしょうか。
「好きなことを仕事にできるほど幸せなことはない」
とも、
「好きなことを仕事にしない方が良い」
とも言います。

『本なら売るほど』1巻より(児島青/KADOKAWA)
まあでもやっぱり、古書店経営、羨ましいですよねw
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