
ブラック労働環境気味な会社で働く40代(45歳に確定)サラリーマンの佐々木。
日々の唯一の癒しは、会社帰りに寄るスーパーの2番レジ担当、清楚で可憐な山田さんの明るい営業スマイルだった。
山田さん不在で「ファン活」が空振りに終わったある日、喫煙所を探す佐々木を手招きする女。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』6巻より(地主/スクウェア・エニックス)
スーパーの裏の従業員用の喫煙スペースに佐々木を手招きした、後に「田山」という名であることが判明する喫煙者のその女は、「山田さんの同僚」を名乗り、佐々木が山田さんのファンであることも承知だった。
かくして、スーパーの2番レジで清楚で可憐な山田さんの笑顔に癒される佐々木の日常に、その後スーパーの喫煙所でワイルドでジト目で「んははは」と笑う"はすっぱ"な田山さんと雑談するルーチンが加わった。
山田さんと田山さんが同一人物だとも気づかず…
という大人の?未満恋愛ラブコメ。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』6巻より(地主/スクウェア・エニックス)
本作で正体を隠しているヒロイン、山田=田山は「すぐバレるだろう」「ちょっとからかおう」と必然性なく軽い動機で正体を隠すことを始めたものの、佐々木が延々気づかないので言い出すタイミングを失って、
「佐々木が未満恋愛で2人の女性に好意を持っているような状態」
「山田=田山のペルソナ間でヤキモチを焼く状態」
など、必然性のない軽い土台の上に、一人二役が織りなす三角関係めいた人間関係の機微やちょっとしたドラマが始まってしまっています。
「山田=田山」の役割分担は、いわゆるSNSの「裏垢」そのもの。バレても世界は滅びないけど、今の居心地の良い関係が壊れるのは怖いよね、っていう。
佐々木の年齢が45歳で確定したので、24歳の山田山とは21歳差。
わかりやすく説明するためのジャンルとしては「未満恋愛ラブコメ」に分類されるべきなんでしょうけど、描写を見ると作者はまだ2人の関係にラベルを貼りたくないのかな?という感じもします。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』6巻より(地主/スクウェア・エニックス)
主人公の二人にスポットを当てつつ、二人の年齢の割りには(失礼)未満ラブコメをじっくりやってます。
居心地の良い関係に安住して互いに癒しを得つつ「この関係が失われるのは怖いなあ」と思っているのも相変わらずですが、
「自分は相手のことを異性として好きかもしれない」
とようやく自覚が、二人ほぼ同時に芽生え始めました。
互いに成人の独身同士で一見「恋の障害」はないように見えて、
佐々木には「自分はだいぶ年上のおじさんだ」、
山田山には「自分は佐々木に嘘をついている」、
という引け目があって、年齢の割りには(失礼)ここからが長そうでもありますね。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』6巻より(地主/スクウェア・エニックス)
昨今は、
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フジテレビをめぐる醜聞もあり、少々憚られるのですが、昔フジテレビでやってた『女子アナ。』というドラマが好きでした。
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DVD化もされてなくて、中古でもVHSしか売ってません。さすがに買えないw
自分と同い年の女優・水野美紀が主演で新人女子アナを演じ、ガッツと人情とご都合主義で女子アナの仕事がんばる!的なドラマだったんですが。
何話かで、仕事で失敗して上司・先輩・同僚たちから白い目で見られて、深夜のデスクで独りで泣きながらコンビニ弁当を食べるシーンがあって、それを観た時から
「自分はこのドラマと水野美紀を好きになる!」
と決めました。
あのドラマのあのシーンは、自分はたぶん一生忘れないと思います。
ちょうどその頃、自分は若手のサラリーマンで、仕事で失敗して上司・先輩・同僚たちから白い目で見られて、失敗をリカバリするために残業中の深夜のデスクで独りで泣きながらコンビニ弁当を食べる経験をしたばかりでした。
最近知ったんですが、似たような名言があるんだそうです。
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恋愛ものやラブコメでは度々、
「(読者が納得できる)好きになる理由」
が問われます。
男子が女子を、女子が男子を、あるいは男子が男子を、女子が女子を、好きになる理由。惚れる理由。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』6巻より(地主/スクウェア・エニックス)
でも「涙とともにパンを食べる者」を独りにしないでいてくれたら、それって「好きになる理由」になりませんかね?
関係によってそれは「戦友」だったり「忠誠」だったり「師弟感情」だったり「親友」だったりに派生するんだと思いますが、「恋愛感情」にだって派生することもあって、要するに、
「好きになる理由」
なんて、何の役にも立てなくても、
「一番しんどい時や一番嬉しい時に一緒に居てくれた」
だけで十分なんだよな、と今巻を読んで思いました。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』6巻より(地主/スクウェア・エニックス)
自分が惚れっぽいだけなんですかね。
aqm.hatenablog.jp
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