

「りっちゃん…ごめん
わたし…っ 戦いに行く…!」
やうやう言ひしよこの女。
同級生女主人公三人+先輩女主人公一人+先生女主人公一人、受験学問が題、こしかたの蓄積に立脚せる週刊少年跳躍の最新鋭なる看板恋米。
最新鋭ければ実験始めやがりきといふか、終盤にきてまさかの五人の女主人公ごとの多終はり展開。巻頭のあらすじを見るに、前巻のうるか経路が正史扱ひに、残り四人の女主人公がもし経路扱ひのごとし。
なほおのれは多終はりにつかば「さながら終はりてみずとわからぬ派」なり。
といふことに文系の文乃経路終はりの巻。
おのれは一番恋しき女主人公はご多分に漏れず真冬先生なれど、五人の女主人公の扱ひの公平性に配慮せるこの作品に一番本命につきづきしきは文乃に、多経路終はりが明らかになる前までは最終やうなる本命ぞ文乃ならむ、と思へり。
易くいふと恋しきは真冬先生なれど、応援せるは文乃なりき。
鈍感力の高き登場人物どもに、他の個性の心・無心の色心地に敏感に、すがらに「女の友情」がためにおのれの色心地より目逸らし続けこし女主人公に、なんつーか一番せつなきぞかし、この子。

「ぼくたちは勉強ができない」16巻より (筒井大志/集英社)
あと清楚なるかたち、髪型の大当たりなると、同級生ながら姉ぶる個性なると、その割りに短気なる突っ込み役かつ食ひしん坊個性といふ間隙も恋しかりき。
割りと恋米としのこの作品を支へこし扇の要のらう者といふか、MVPかなと。
さる心に人がおのれの心地を犠牲にし応援しこし理珠とうるかが今巻に人の背中を押す展開は胸熱に、唯我と結ばるる最終は感無量なり。
なになれど、おのれの妄想の中にしかあらぬ真 終はりとひきあはして、いかがすとも、「八十点を獲りに行きて名作になりに行くことを放棄せり」ともいふか、
「この場面の人に報ふめる最終が、はやなほ描かれきべからむ?」

「ぼくたちは勉強ができない」16巻より (筒井大志/集英社)
と思はではひられず。
抑制やうに五人の女主人公への公平を貫くある種の玄人の決断は敬意に値すれど、ハーレムラブコメは難し。
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