「正しい帳簿さえあれば世界だって救える」
「たとえ種族が違っても…言葉や考え方が違って
絶対にお友達になれないような相手でも…
"損得"さえ一致していれば同じ方向に進める」
女騎士がオークに囚われてくっ殺で「ガハハ!!そうはいくか!!今日からお前はウチの会社の経理のお姉さんだ!!」な話。
なんやかんやで人間社会に帰って捕虜時代に取得した簿記2級のスキルを活かして銀行に就職、奴隷商からツンデレダークエルフを買い取って解放、経営コンサル、戦時国債の仲介引受、マンドラゴラバブル、活版印刷機、受託販売、冒険貸借と保険、株券と決算。
最終巻。
海難で潰れかける港町を、船団を株式会社化し王を株主に迎えることで救い、今巻は魔族が治める新大陸の橋頭堡となる要塞建築の事業権を賭けた、王が開催する航海レース。
新大陸への渡航に強く執着する女騎士、そのために海賊を雇うことに強く反発する相棒のダークエルフ。
経済うんちくの初歩をファンタジーに乗せて読みやすく、がテーマの作品でしたが、最後は生まれ育ちが違ってもわだかまりを抱えても価値を共有する者たちの絆と別れ、そして経済的な合理性を共有できれば魔族とさえ融和できる可能性が「まおゆう」とはまた違った切り口で描かれました。
百合だったのかな?どうでしょうか。
数多あるラノベ・なろう系の変化球ファンタジーの中でも、キャッチーな掴みだけに頼らない、人間と魔族、あるいは人間同士が相争う世界観にポジティブなテーマが作品全体に通底する佳作で、楽しく読みました。
続きが気になり「勇者と一緒に魔王を倒しました」では誰も納得しないであろう中いろんな妄想が安易に膨らみますが、作品のテーマを象徴的に凝縮したオシャレな最終コマを超えるラストは、意外とちょっと思い浮かばないですね。オシャレな締め方やわぁ。
aqm.hatenablog.jp