名門の子女が集う名門学園の生徒会長・白銀御行と副会長・四宮かぐや。プライド高いエリート同士、美男美女同士の「告白した方が負け」。稀代のラブコメメーカーによる恋愛マウント駆け引きバトル、現役最強ラブコメ。
白銀とかぐやが高校2年から3年になる3〜4月ということで、前巻仕掛かりの卒業式の続き。
作品全体に対する位置付けとしては、付き合い始めた白銀とかぐやのストレス源としてのし掛かっていながら、具体的な形が不定形だった四宮家の存在について、長兄の黄光が割りと明示的に打倒すべきラスボスとして提示されました。
当主でかぐや達の父親の雁庵は、物語上の装置的で、かつ長として「人を育てられない」という人間的な弱点・欠点がかなりはっきりしていることもあって、たぶん明確な敵として浮上することなく退場することになるんじゃないかな、という気がします。作者が雁庵に興味がないというか。
黄光は黄光で俗悪な、いかにもな悪役として描かれ、また「権力・身命のすべてが雁庵に由来している」という別の弱点・欠点がはっきりしていて、引っ張るでしょうけどたぶんワンパン入れたら雁庵に見捨てられて終わりかな、と。
んで、「終盤」であることが公式に宣言されました。
「序盤・中盤・終盤」に従うなら、21巻からの終盤が最後の方で込み入っても30巻台後半で完結かな、というところ。
以前、「何かのインタビューで大学編・社会人編の構想もなくはない、と赤坂アカが言っていた」という噂をネットでみたんですけど、どうも高校生、しかも白銀が渡米留学する前に決着がつきそうな雰囲気。
そのための伏線というか、3年生への進学に伴って体制づくりがされた、という感じ。
四宮家は巨大ですけど漫画的には主要キャラとしては実質的に黄光1人しかいないのに対して、高校生にしかすぎない白銀の仲間たちですけど、まあ各方面で力を持つパパママジジババ達がついてるので…という。
四条家が主力でドンパチやるのはあまり描かれずに、別働隊の白銀パパが美味しいところを持っていきそうな予感がプンプンします。
焦らせますけど、プロットに相当自信があるのか、じっくりやるっぽい。
ということで縦軸は10冊単位でじっくりやるんでしょうね、ということでカメラを3月に戻して卒業式の続き。
石上の成長物語的には学園のマドンナに臆せず告れるようになった時点でもう勝ちなので結果はどちらでも、という感じですけど、
装置として登場させたつばめ先輩が読者に嫌われないように、ずいぶん気を遣って描いてるな、と思いました。最終盤で美味しく再登場するんじゃないかな。つばめ先輩の「人に頼れる強さ」は対・四宮家戦の結構キーですよね。
漫画に限らず、人気者の告白を断ると周囲のヘイトが向かいがちだし、クリスマスの件で既にけっこうな数の読者の心が離れてしまったし、という。人気投票やったら順位だいぶ下だろうな感。
頼れる先輩、強い人間として描写されましたけど、恋愛感情が存在する人間として描かれなかった点が、読者によっては可愛げがなく、見方によっては不気味にすら映るよね。「恋愛感情がないのになんで恋愛漫画に出てきたの」というか、「合コンでクールぶってる人」みたいな位置付けに。
メタで言うと石上を成長させるための装置なんですけど、雁庵とは逆に、恋愛感情を描かずにいかに人間らしく描くかに腐心して、どうなんだろ、自分は成功したように見えますけど。つばめ先輩、好きですよ自分。
という、「つばめ先輩、割りと好き」を語るにも言い訳が要る結構めんどくさいキャラになっちゃったな、とは思います。
学帽にロン毛の前生徒会長は、何かありげに存在しつつ、誌面上は結局特に何も為さずに退場して行きましたけど、裏設定はいっぱいあんだろーな、と言う感じ。かぐやと圭が過去出会ってた伏線とかも、本編に描く気あんのかないのか、どっちかなーと言う感じ。
あとは卒業式の後始末、かぐや初の白銀家訪問、ラーメン四天王再び、などなど。日常のコメディ回も。
ミコといい圭ちゃんといい、年下組のサブヒロインズが最近さらに可愛いですね。ミコはいろいろアブなくて、展開次第ではつばめ先輩以上にヤバいキャラなんですけど、可愛いよねーっていう。ミコ×白銀、いいわー。
作者がそこまで描くつもりなくても、やりすぎて例えばかぐやの100倍ミコが人気を獲得したらこの漫画どうなるんだろう?ってのはちょっと思います。ラブコメ漫画史上、計算高い作風の作者の作品、タイトルにヒロインの名前を入れた作品に限って、サブヒロインの人気が爆発しちゃいがち。
なにはともあれ、はー、今巻も読み応えあって面白かった。連載で一回読んでんですけどね。それでもこんなに感想に書きたいことがたくさんあるという。
個人的には「かぐや様」の感想になると急に気持ち悪い長文書くの、よくないなと思ってはいるんですけどね…
aqm.hatenablog.jp