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#勇気あるものより散れ 1巻 評論(ネタバレ注意)

「ガンスリンガー・ガール」「1518!」の相田裕の新作。

明治七年。

幕末に「鬼九郎」の異名で知られた剣士、元・会津藩士の鬼生田春安は、死に場所を求めるように反・維新政府の活動に身を投じ、内務卿・大久保利通の乗る馬車を襲撃する。

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「勇気あるものより散れ」1巻より(相田裕/白泉社)

馬車の中から現れ彼を迎撃したのは、先日、刀剣屋で言葉を交わした女学生風の娘だった。

致命傷を与えたはずの娘に敗れた春安は、逆に瀕死の重症を負わされるが、娘は不死者の一族を名乗り、彼を眷属として延命させることを告げる。

娘に救われた春安は生きる場所を得て、幕府から維新政府に受け継がれた、不死者を巡る忌まわしき闘争に身を投じる…

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「勇気あるものより散れ」1巻より(相田裕/白泉社)

という、主人公がヒロインの首に斬りつけるところから始まる、明治時代を舞台に不死をめぐる陰謀が渦巻く血生臭い伝奇剣劇アクション。

この作者の代表作は今のところ数多くないですが、新作のたびに予想のつかないジャンルに飛んでいきますね。

明治七年、作中で「近々 廃刀令が出る」とされているので、「るろうに剣心」のオープニングよりあと数年古いぐらいでしょうか。

不死と眷属の在り方が吸血鬼のようでもあり、「鬼滅の刃」のようでもあります。

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「勇気あるものより散れ」1巻より(相田裕/白泉社)

ガンアクションは昔描いていましたが、剣劇アクションはどうでしょうねと思いましたが、なかなか動いて見えます。まだ少しぎこちなさも感じるので巻が進むごとにもっとよくなっていきそう。

主人公は京都から函館まで転戦した元・会津藩士とのことで、この時代の便利なことに回想シーンや、もしかしたらリアルタイムのシーンでも新撰組や幕末の志士たちが登場する可能性がありますね。

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「勇気あるものより散れ」1巻より(相田裕/白泉社)

戦死したはずの剣士が不死の眷属として生きながらえてる描写はすでに1巻で登場しているので、割りとなんでもアリっちゃアリです。自分が幕府側だったら、あたら土方歳三や沖田総司のような優れた剣士を、不死化もさせずにむざむざ死なせるはずもないだろうと思うんですが。

作者の業というか、「戦う少女が傷つく姿を描きたい」がまずあって、「傷ついても死んでは困る」ので「不死にした」、という点でなにか「ガンスリ」に通じるものを感じなくもないです。

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「勇気あるものより散れ」1巻より(相田裕/白泉社)

話の縦軸は少年漫画のように明快でわかりやすく提示されて、今作も先々が楽しみな。

それにしても大久保利通はよく馬車を襲撃されるやっちゃな。

 

 

(選書参考)

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