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あ、今日読んだ漫画

#紛争でしたら八田まで 7巻 評論(ネタバレ注意)

表紙のメガネ美女、「地政学リスクコンサルタント」の八田百合がクライアントの依頼を受けて世界を股にかけて紛争を渡り歩き、地政学の知識と思考と調査能力と護身術で解決していく、美女!メガネ!インテリ!ハードボイルド!ワールドワイド!なかっけーお仕事もの。

ぼっちでメガネで日系で手ぶらのココ・へクマティアル、という感じ。

下品な方の出羽守っぽいというか、ちょっと「ブラック・ラグーン」みたいな洋画吹き替えワールドな感じ。

オーストラリアの不動産の買収説得(こう書くと地上げですねw)の依頼を受け、不動産の所有者を尋ねてナウルに飛んだ八田が目にしたのは、かつて資源に恵まれ産油国並みの栄華を極め、ベーシックインカムを一度は実現した、太平洋の小さな島国の「それから」だった。

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「紛争でしたら八田まで」7巻より(田素弘/講談社)

というエピソードの完結編、というかほぼエピローグ。

続いては、八田の育ちの故郷シンガポールの旧友・アイシャからのSOS。

アイシャの主宰する劇団の上演許可が、急に、不審に、シンガポール政府から取り消されたという。

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「紛争でしたら八田まで」7巻より(田素弘/講談社)

アイシャの依頼で、八田は再度の上演許可を求めて調査を開始するが、そこにはシンガポールならではの文化と歴史、そして地政学上・安全保障上のシンガポールのアキレス腱とも言える事情が関わっていた。

この、「劇団の上演の許可」という、一見矮小な相談事のようなスタートから、東南アジアの安全保障に関わる大問題にエスカレートしていく感じ、面白いですね。「大問題」から逆算して課題を設定したのか、それとも似た事例が現実にあったのか、どうやってプロット作ってんだかとても興味深いw

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「紛争でしたら八田まで」7巻より(田素弘/講談社)

ナウルの話もシンガポールの話も、好奇心が満たされて、本当だとしたら大変勉強になるんですけど、困ったことに相変わらず無学が過ぎてこの漫画に書いてあることが本当か嘘かわかりませんw

これ書き終わったらナウルとシンガポールについて、せめてWikipediaぐらいは読んでみるわ…

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「紛争でしたら八田まで」7巻より(田素弘/講談社)

主人公の八田は、各国各地の問題を漫画の誌面に浮き彫りにするための狂言回しというかデウス・エクス・マキナというか、ある意味装置のようなものなので、そのパーソナリティについて真面目に論じることにどれだけ意味があるのかな、とは思うんですが、大学に通ったイギリス、生まれ故郷の日本、に続いて、10代を過ごした第3の故郷・シンガポールが舞台。

先日、「3月のライオン」の新刊が出ましたが、あれは交通事故で実の家族を失いプロ棋士の家に引き取られて育った「ルーツを失った少年」が、将棋と周囲の人々との交流を通じて自分の居場所を取り戻していくお話で、とても自己肯定感が低い少年が主人公です。

翻ってこの「紛争でしたら八田まで」のヒロイン・八田百合はあの少年の正反対と言っていいぐらい自己肯定感が高く自信満々なんですけど、父親とは不仲ながら、3つもある故郷をそれぞれに愛する、自分のルーツをしっかり踏みしめた自信からくるのかしらね、みたいなことを、最近読んだ別作品と引き比べて思いました。

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「紛争でしたら八田まで」7巻より(田素弘/講談社)

八田もかつて零くんみたいに悩んで迷った青春時代があったんかしらね。

全然関係ないんですけど、八田だの百合だの零だの、やたら数字が含まれる人名だなってのと、「八田百合」って漢字で書くと頭文字は「八百」、「八百長」「嘘八百」の八百だなあ、と思いました。

800ってなんでそんな扱いなんだろう。昔800がなんかしたんかな。

 

 

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