AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

FSS (NT2022年12月号 第18巻相当) 評論(ネタバレ注意) #fss_jp

ファイブスター物語、連続掲載継続中。

「第6話 時の詩女 アクト5-1 緋色の雫 Both3069」。

扉絵コミで15ページ。

  

他の号はこちらから。

aqm.hatenablog.jp

以下、宣伝と余談のあとにネタバレ情報を含んで論評しますので閲覧ご注意。

 

 

 

 

 

 

 

(余談)

・『スプラ3』と『COD MWⅡ』に加えて、『タクティクス・オウガ リボーン』が昨日発売、月末に『フロント・ミッション ファースト』発売と、大変忙しい。

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(扉絵)

フィルモア皇帝騎 ダス・ゴースト モノクロ設定画+解説テキスト。

 

(本編)

GTMで戦場に降りたフィルモア皇帝ダイ・グは、僚騎を駆るクリスティンに積年の想いを告げ、AFチャンダナに星団法違反も辞さない星団中への通信チャネルオープンを命じる。チャンダナから発せられたオーダーは星団中に散るバランシェファティマたちを中心に拡散されていく。

「ダイ・グの想いを受け星々を超えてつながる、バランシェ・ファティマたち。残るは……!?」(ニュータイプ2022年12月号より)

 

(所感)

扉絵

現在ダイ・グの駆るダス・ゴーストの他、ナキメーカ(クリス)、ダス・カイザース(茄里)を含めて、すべてカイゼリン(デプレ)の「兄弟騎」「同型騎」ということに設定変更されました。

まあ後付けなんですけど、自分はカイゼリンはじめ「フィルモア皇帝騎」シリーズが由来もデザインももともとあんま思い入れなかったので、「そうなんだー」ぐらいの感じです。

途中から「フィルモア皇帝騎」多すぎで「皇帝何人おんねんw」「いや皇帝乗らんのかーい」と言う感じで、「皇帝が乗らない名ばかり皇帝騎」が増えていくのは自分はもともと全然好きではなかったので、「せめて同型騎」の方がまだ説得力あってマシなように思います。

破烈の人形やジュノーンの騎数が増えたり減ったり、そもそも主人公騎のKOGも同型・兄弟騎が複数いたり、同型騎でも「装甲の違い」で見た目が違ったり、この手の設定変更というか「作者のお気に入り騎はシリーズ設定が後付けされる」はこの作品あるあるですし。

MSVスピンオフ派生でRX-78が気が付いたら10機ぐらい居たことになってるのに似てますねw

 

ダイ・グ

読者も知らなかったダイ・グの本音。実は先に一目惚れしてたのはダイ・グの方でした。

「もっと早よ言うたれよ」というわけにはいかない事情があったとは言え、フィルモア国内の力関係事情が少し違ったら、「皇帝とハイランダー皇后の最強夫婦」という未来もあったかもしれないね。

「名家の凶状持ちがハイランダーに」と「名家の凶状持ちが皇后に」ってそんなに違うか?という気もするし、世論的にも「バツイチ子持ちの出戻り詩女と婚約」よりはマシ(私の価値観ではなく、純潔を求められがちな皇家に対するフィルモア国内世論としての意味です)な気もします。

ただダイ・グのクリスに対する告白は、恋愛・性愛というよりも年下の弱者に対する慈しみや庇護の面が強い気もしますね。「女性や子どもを守る騎士」というか、ジークやラキシス、茄里に対するのと共通する「お兄ちゃん体質」というか。

今回、戦死しないっぽいフラグが。

 

ブーレイ

「うかつに手を出すな!!」ってお前ら「コーラス王家のMHを発見」した時のヒャッハー感はどこ行ったんだよwww

 

全世界の通信乗っ取り

複数の切り口があっていろんなことを考えさせられました。

 

オールスター

敵味方を超えてオールスターで一つの目的に向けて協力する、というのはフィクションにおける定番のエモ展開。

劇場型展開で更に主要人物の演説につながりますが、「演説シーン」もまたエモ展開の定番。

 

戦争倫理(星団法違反)

今回は結託した複数のファティマによる「通信ジャック」が星団法違反にあたるようです。

現実に近いのは、テロリストによるTV・ラジオの電波ジャックや、クラッカー・ハッカーによるWEBサイトやアカウントの乗っ取りに近いのかな。

フィクションで言うと、学園もので「校内放送乗っ取り」とかはたまにあって、近年の作品だと映画『君の名は。』で町内放送をジャックして避難誘導したり、TVアニメ『ウマ娘』二期でカノープスチームがテイオー引退ライブのプロジェクターをジャックしてツインターボのレースをライブ中継したりしました。

頻発されたら社会インフラが成り立たないので当然犯罪行為ですが、フィクションにおいて「目的のために手段が正当化される」よくあるエモ手口。

今回の場合、ファティマの経歴に傷がつきかねないこともあり、マスターである各国首脳が敵味方に関わらずお墨付きを、各ファティマに与えています。罰する者がいない犯罪に。

一般市民の中には、「アニメのタイマー録画してたらフィルモア皇帝の演説になってたんだが…」みたいな反応もきっとあるでしょう。

 

戦争倫理(利敵行為)

枢軸側のファティマとマスターがチャンダナ(ダイ・グ)のオーダーに協力し、必要に応じて自主停戦・後退までしていて、利敵行為。軍規によっては敵前逃亡罪で銃殺。

各国首脳が理解を示していることもあって「誰もお咎めなし」ですが、基本的にただの「結果オーライ」ではあります。

くわしくないですが、地球の現実の戦争においても条約(むしろこっちが星団法に近いんですが)で「赤十字(病院)を攻撃してはいけない」や、その派生で「医療班を攻撃しない」などの紳士協定など、人道的な観点から部分的に利敵行為を保護するルールはあります。

スポーツでも、例えばサッカーで

「相手プレイヤーが怪我を負ったらボールを外に出す(治療タイムを作る)」

「そうしてもらったらスローインで相手にボールを返す」

などの利敵行為を推奨する暗黙の紳士協定が存在したりします。

今回の件は「人道的」というよりは更に「紳士的」「騎士道的」なもので、ある意味「FSSにおける戦争」の趣味性が強調されているとも言えます。

そもそも利敵行為という意味では、ベラ戦において敵GTMの眼前で姉の京を相手に戦意喪失・戦闘拒否した令令謝の前例の方が、より悪質ですよね。あれをナオが許すのも、結局「趣味で戦争やってるから」ですし。

 

利敵行為か情報収集か

じゃあ一概に利敵行為と断罪できるか、各国首脳が同情と温情だけで判断したか、というとそうとも言い切れず、ドリュー・ゼレのセリフにもあるように、「敵の首脳の緊急重大発表」があったら、まあ聴くべきですよね普通、という。

枢軸側の首脳や騎士が、チャンダナへの協力をファティマに許可したのは、現実で言ったら「TVやラジオのチャンネルを合わせる」「Twitterをフォローする」「RTする」「ライブ配信を観る」程度のことであるとも言えます。

ただ、ダイ・グとチャンダナの願いが武力の行使ではなく「言葉を届けること」だったのも各国首脳がこれを許可した理由ですが、これはある意味FSSが「バトルもの」「戦争もの」であることの否定で、「言葉を届けること」で理解しあい問題を解決できるのであれば、騎士もファティマもGTMも要りません。最初から話し合えよ。

もう一段深掘りすると、今回のダイ・グとチャンダナの演説インフラ構築の要は

「ダイ・グが皇帝・騎士として各国首脳や騎士から一目置かれ、また最期の言葉であることが理解されていること」

「フィルモアが星団最強の軍事国家として一目置かれ、実際に全星団をハックできる力(チャンダナ)を持っていること」

で、来月号でダイ・グがどんな言葉を語ろうと、その背景・前提には名声と共感と力が必要だった、ということです。

無職時代のブラッフォードが京とバランシェ・ファティマ・ネットワークを使って「入れてくれる騎士団募集中!」とかやったら、一生どこの騎士団にも入れてもらえません。

言葉はそれのみでは力を持たず、聞き入れられるには発する者の格が必要で、「最初から話し合う」ことは無理なのである、という。

インフルエンサーにならなければバズりにくい、「(言葉を)誰が発するかが重要である」という、現実社会に対しても割りと身も蓋もなく示唆的なお話ですね。

なのでこの記事が気に入ったらお前もRTしてくさだい。

 

「今だけは味方!姉妹の絆 陰謀より強し!」

敵味方のあらゆるところにファティマ、特に幹部級のところに高性能なバランシェ・ファティマが採用されていて、今回は敵味方を横断して横串で「バランシェ・ファティマ協同組合」が、陰謀による戦争に短期的なストライキを起こしたようにも見えますね。

バランシェ・ファティマは高性能なものの、ソープを攻撃すると性能が劣化したり、こういうときに戦闘を放棄するなど、特定のシチュエーションにおいて兵器として重大な欠陥も抱えています。メイユ・スカが今回の件を見たらより一層バランシェ・ファティマへの不信を強めるでしょう。

作品初期のファティマに対する厳しい「マインドコントロール」の設定は、割りとグダグダになっているとも思います。(バランシェ・ファティマは最初から特にグダグダでしたが)

いずれにせよ、バランシェ・ファティマ姉妹たちから見て、各ファティマがこの仕組みを「悪用しない」ことが大前提で、ここも紳士協定的。

さっきの「赤十字を攻撃しない」に似た運用で、ジョーカー星団にも

「ファティマ・マイト(ガーラント)は中立」

「ガーラントを攻撃しない」

というルールがありますが、その中立のはずのガーラントであるバランシェが、ルールを悪用したバックドアを、兵器ではなく人間としてのファティマに予め仕込んでいた、とも言えます。

もっと言うと、バランシェがファティマを「兵器」としてより「人間同士の相互理解をつなぐ者(ガンダムにおけるニュータイプ能力)」として造ったのかもしれないです。

そもそもファティマのルーツはおそらく2020年にバランスが時空を超えてラーンから入手した「花の種」で、戦争嫌いのラーンが「兵器としてのファティマ」の誕生を望んでいたはずはなく、クローム・バランシェがラーンの望みの本質(人類を調律し平和をもたらす者)を理解した故、ともとれます。

 

クリスティン・V

よかったね。

と「女としてのクリス」に対しては想うんですけど、「ハイランダー(騎士)としてのクリス」に対しては「皇帝に護ってもらったハイランダー」の経歴は、「それでいいのか」と思わないでもないです。

彼女がこの戦いで人生を終えるなら「最期に騎士としてではなく人間として女として初めて報われた」とも思えるんですけど、ハイランダーとして彼女の人生が続いていくのを知っているだけに。

 

チャンダナ

可憐で清楚で従順なファティマのイメージを象徴する

「イエス!マスター!」

に続く、更にゆるふわな従来の彼女のイメージに反した

「任せろ!!どんと来い!」

が熱い。かっこいい。

「行くぞ!!」

に至って怒鳴り感の表現で手書き文字になっちゃうのも良い。

スパロボ的なロボットヒーローものの主人公みたい。

「やっっっってやるぜ!!!!」って言いそう

 

フローレス

どうでもいい。

 

カイゼリン・スーツ

どうでもいい。

 

オデット

茄里の前でオデット人格なん? 

 

ミューズ

「寛大に協力する」感を出しているんですけど、ダイ・グの言葉がカラミティの消滅やカラミティ住民のボォス移住にまつわる願いについてだとしたら、あなたも当事者で、あなたの仕事でもあるんですよ。

この、歴代フィルモア皇帝のみならずカラミティ各国首脳の、カラミティ消滅対策に関する無策・先延ばしとダイ・グへの押し付けっぷりは作品通じてずっと、本当に酷い。

この件に関してミューズはダイ・グの相棒、むしろ「人生の先輩」「正義の番人たる法王」として、ダイ・グを導いてやる立場ですらあるべきだと思うんですが。

法王になってもいつまでたっても一パイロットとしてしか活躍できない人だな。

 

マドリガルとネロス

ファティマ・スーツのデザインが軍服っぽいのに可愛くて、フェティッシュ。

 

ミースと一緒にいる相手

後ろ姿の髪型と髪色から成人ログナーかデコースっぽいけど、現ログナーはまだ少年期なのでたぶんデコース。

確かこの3069年にエストが天照家に入ることが確定していて、自動的に「この年にデコースが死ぬ」と思い込んでいるんですが、ミースになんの用だろ。

「エストを手放す相談」とかに来てんのかしらん? 騎士廃業? 死なない?

 

全体的に、今回のエピソードで戦場の敵味方含めて現場の全員が著しく「いい人化」してしまったので、毒気が抜かれて「戦場での無慈悲で残酷な殺し合い」の恐れが薄れて、騎士道精神に則った「爽やかスポーツ戦争」チックにはなった感じはします。

今回登場しなかった「悪役」、元老院やボスやんのリアクションが気になるところ。

来月か再来月がダイ・グの演説ですかね。

こっちは別にこだわりないですけど、年内に終わんないなコレw