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#神さまがまちガえる 3巻 評論(ネタバレ注意)

百合漫画『やがて君になる』の作者の現作。

ほぼ現代の日本。世界は少し、おかしくなった。

異常気象ならぬ、異常現象・超常現象が断続的に起こるように。

『神さまがまちガえる』3巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

「周期性例外事象」、通称「バグ」。

ある時は1日が27時間になったり、ある時は人類全員が突然迷子になったり。

大規模・影響大なバグは短期で収束し、逆に小規模・影響小なバグは長期化する傾向に。政府の「例外庁」が収束予測を発表する世界。

主人公の中学生男子の"紺"は親元を離れて(?)シェアハウスに下宿。

ヒロインの、シェアハウスの大家の美女"かさね"は、兼業で大学の教員・バグの研究者。

世界規模で起こるバグは当然、彼らが暮らすシェアハウスや紺の通う中学校でも発生し、今日も紺はかさねの助手として、バグの不思議と向き合うのだった。

という、非日常を舞台にした日常もの。

『神さまがまちガえる』3巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

今のところ発生するバグは人死にが出たりする深刻なものではなく、「神様が地球にいたずらしたような」ものが中心。

作品全体のテイストものほほんとした日常ものテイストで、主人公たちが解決に向けて活躍する、というよりは「わー、ちょっと困るけど、おもしろーいw」とリアクションしてる間にバグが勝手に解消するものがほとんどです。

ざっくり言うと「おねショタSF日常もの」、と形容して良いと思います。「おねショタ」という言葉が想起させるほど恋愛要素はなく「仲良し」ぐらいの匙加減。

『神さまがまちガえる』3巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

今巻のバグのお題は

・(バグ外)紺の出自に疑問を持った役所と教師の同時家庭訪問

・かさね以外のすべての人類がしゃべった言葉が漫画の吹き出しみたいな風船になる

・かさね以外のすべての人類の頭上に謎のカウントダウンが表示される

・かさね以外のすべての人類が透明人間になる

・かさね以外のすべての人類の年齢が不規則に変更される

・海水が甘くなる

・かさね以外の世界のすべての時間が止まる

「頭上の謎のカウントダウン」バグは、『デスノート』っぽくも『ハンター』の"ボマー"ゲンスルーの「命の音(カウントダウン)」っぽくもありつつ、自分は昔『涼宮ハルヒの憂鬱』の「これまでオナニーした回数が頭上に表示される」二次創作SSを思い出しましたw

『神さまがまちガえる』3巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

かさね述懐してたけど、運命確定論的にけっこうヤバいバグですよねコレ。

前巻で紺の出自に関して、読んでて割りと度肝を抜かれたんですけど、本人割りとカジュアルに受け止めててワロタ。

『神さまがまちガえる』3巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

悩まねーなこの子w

巻の序盤で紺があるがままを受け入れた分、もう一人の特異点・かさねの特殊性に比重が移ったとも言える巻。

時間停止バグといい、「神様」的な何かが観測者としての"かさね"を意識している、とも取れなくもない展開と描写。

「神様=作者」がメインヒロインを中心として意識するのは当たり前、というメタは置いておいて、作中どうオチをつけるのか、というかオチをつける気がそもそもあるのか、という。

縦軸とキャラを置いておいても、ゆるい不条理SFシミュレーターとして楽しい作品。

不思議なんだけど、不思議に振り回されてキャラたちの関心も高いんだけど、大多数の関心や興味が表層に留まっていて因果の深遠に及んでいない、どこか無関心に、

「大変なことが起こっているけど、それでも大多数の人類の日常や生活は転がっていく」

ことが、

『神さまがまちガえる』3巻より(仲谷鳰/KADOKAWA)

なんだか現実社会のいろんなことに似ているなあと、その辺も面白いですね。

 

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