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#劇光仮面 4巻 評論(ネタバレ注意)

『シグルイ』の作者の現作。

実相寺二矢(じっそうじ おとや)、29歳、職業アルバイト。

『劇光仮面』4巻より(山口貴由/小学館)

大学時代のサークル「特撮美術研究会」通称「特美研」において、特撮美術の魅力、その「劇しい光」に取り憑かれた彼らは、「コスプレ」というよりは「パワードスーツ」と呼ぶべき機能を備えた特撮ヒーロースーツ「劇光スーツ」をメンバー全員分自作し、自警パトロールや社会貢献活動に勤しんでいた。

実相寺は自警パトロール活動中、不良少年たちの傷害事件現場に行き合った際の制止の最中、事故で相手を失明させてしまい自らも傷害犯となり執行猶予付きの有罪判決を受け、サークルも強制解散。

『劇光仮面』4巻より(山口貴由/小学館)

それから6年、アラサーとなった特美研メンバーがそれぞれ就職し結婚準備を始めるなど新しい生活を歩く中、実相寺は独り、アルバイトで生計を立てながら身体の鍛錬と劇光スーツのメンテを怠らず、再びヒーローとして「劇しい光」に出会う機会を求めて雌伏していた…

外形的には20〜30歳の大人になっても「ヒーローごっこ」から抜け出せない若者が、その特撮ヒーローへの強烈な憧れ・情熱・狂気によってカルト的な活動に傾倒し、社会にわずかに存在する同好の士と価値観を共有し合っている、そんな話にも見えます。

『劇光仮面』4巻より(山口貴由/小学館)

ヒーロー願望を抱えた若者たちが闘争を求めて相撃つ展開を繰り広げ、

「武器や力を手に入れた者は、それを振るわずにはいられない」

というお話に変容したかのように、見えました。が。

「幼稚なヒーローごっこ」が闘うべき敵、打倒すべき悪が、本格的に顕現し出しました。

『劇光仮面』4巻より(山口貴由/小学館)

・主人公たちの口を借りた作者によって「異次元や地球外の生命体ではない」との線が引かれた

・「受容体」「適合体」などの状態の分類がされている

・更に「くり」「ブドウ」など果物の名前を冠した形状・機能の分類もされている

・「二号」「七号」などナンバーが振られている

・「人雷」「人龍」などのコードネームがついている

・「いつの時代の兵装だ?」との発言

などから、体系的・継続的な実験・開発の成果・遺産である、ネーミング・ラベリングの言語やセンスから、おそらく旧日本軍によって開発された、遺伝子改造による人間決戦兵器であることが類推されます。

本人の発言から「長寿化・不老化」も付与されている節がありますね。

『劇光仮面』4巻より(山口貴由/小学館)

2巻のMOBおじさんの破裂死の経緯を見るに、性行為もしくは体液交換で感染・増殖するウイルスタイプなんかしらね、「受容体」「適合体」言うてるしな。

主人公の強いヒーロー願望が「闘うべき敵」「打倒すべき悪」を呼び寄せ顕現させたかのような印象を持っていましたが、どちらかというと

「裏社会を嗅ぎ回るジャーナリストが知りすぎた結果、消される」

ような展開に近いのかな。

求めて動いて迫った結果、摩擦が生じる、寝た子を起こす。

そういえば1巻で通夜や追悼の儀式が営まれた、盟友だった切通(きりとおし)の死因はなんだったんでしょうか。2巻か3巻で持病持ちだった描写がありましたが。

6年の沈黙・空白を経て切通の死をきっかけに実相寺の周囲にいろんな出来事が起こりはじめているのは、なにか因果関係があるんでしょうかね。

あとアレ、1945年の劇光仮面の話、アレはもう消化完了なのかしらん。

『劇光仮面』4巻より(山口貴由/小学館)

わあ、やべえなコレ。1巻読み始めた時と比べると断然楽しく面白くなってきた。

 

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