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#堕天作戦 7巻 評論(ネタバレ注意)

人類が自ら開発した機械生命体に霊長の座を奪われた後、そのデウス・エクス・マキナ「超人機械」が忽然と姿を消してしまった。

腐鉄菌の蔓延により科学文明は滅び、入れ替わるように超人機械が残した遺産として魔法・魔人・魔竜・怪蟲・樹海、そして不死者が遺された。

旧人・魔人はそれぞれに国家群を形成し、300年の永きに渡って戦争に明け暮れる、未来の地球。

旧人国家の兵器として利用される無限の人生に飽きた不死者アンダーは、戦場で心が触れ合いながらその死を傍観した魔人の少女・レコベルの消息と、世界を見下ろす「星形の星」を巡る真実を求めて、戦乱に満ちた世界を放浪する…

『堕天作戦』7巻より(山本章一)

小学館との出版契約を円満に解消し、前巻からkindleでの個人出版に移行とのことです。

一読者としては当然、大手商業出版で「売れるかどうか」より個人出版で「面白いかどうか」を優先した作者の決断は英断だったと思います。

戴天党に潜入したアンダーと、戴天党に保護されているレコベルの、邂逅目前、しかし。

『堕天作戦』7巻より(山本章一)

魔人国家ダスカパルでは魔竜騎兵となったシュロが、議会民主制の政治家ポプラの人気取りのためだけの無謀な作戦に駆り出される。

作品で初めて描かれる、魔竜騎兵同士の一騎打ち。

「民主主義の暴走と堕落」に怒りと危機感を募らせた軍部はクーデターを計画。

軍部を主導するクラボウ、まるで「ポピュリズム」から命名されたような政治家ポプラ。

渦中の魔竜騎兵シュロと雷公ボルカは…

『堕天作戦』7巻より(山本章一)

巻末おまけでは、魔竜騎兵の歴史と代表的な魔竜を紹介。

同時代に20人程度しかいないとされる魔竜騎兵も歴史を通じれば500人程度が存在し、その戦術や兵装のトレンドも時代によって移り変わっていった…という興味深い読み物になっています。

当然、全部フィクションなんですが、

「見てきたかのようにリアリティと伴った嘘を平気で吐けるのすごいな」

と思いましたw 本当に在ったぽさ、すごいw

『堕天作戦』7巻より(山本章一)

比較的、時系列順に並ぶ小エピソードの連なりで語られる戦記もの?大河もの?ですが、作品主人公たるアンダー以外に、それぞれの小エピソードに狂言回しというか、それぞれエピソード主人公が用意され、その多くが本人が死ぬか相手が死ぬかして、死別する様子が描かれる作品。だな、と今巻を読みながら思いました。

なのでそれぞれの小エピソードのラストはキャラの死と託される希望が交差するビターエンド。

『堕天作戦』7巻より(山本章一)

死者の想いを背負うことになった生き残りが、また生き残り同士でぶつかり合って、まるでトーナメントみたいです。

巻数が進むほどに生きているキャラの背負っているものは、それまでの死者たちの想いが集約されてデカく重くなっていきます。

作品の最期まで生き残るキャラは、何を背負って、何を為すことになるんでしょうか。

『堕天作戦』7巻より(山本章一)

読者である私にとってのあらま欲しい結末って、この作品がどうなることなんだろうか。

 

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