「水の中は寒かっただろうな」
「冷たくて苦しかっただろうな」
「莫迦だよな」
「皆 莫迦だ」
「莫迦だよ」
あっダメなやつだこれ面白い。まずい。原作読みたいっ。えーと漫画の4巻までが原作小説の1巻で、原作小説が7巻まで出てるから、原作に追いつくまで漫画で28巻かかる。アカン全然待てない。
時代もの感有り、ミステリー感有り、はぐれ刑事純情派っぽさ有り、ラブコメ感有り。
コミカライズはたくさん読んでるんですけどサイト自体はほとんど見たことないんですけど、「なろう」に対してある種の先入観というか、ネットで無料で読めるモノの面白さの天井みたいなの無意識に想定してて、中国の後宮が舞台なのも「あーそういう変化球ねハイハイ」みたいな気持ちがどっかにあったんですが、ごめんなさいコレすごい面白い。すみませんでした。
人攫いに後宮の下女として売り飛ばされた薬師の少女が、謎のイケメン高官の引き合いもあって上級寵妃のお付きの下女として、華やかな後宮内で起こる難事件を薬の知識と花街出身の度胸で解決する時代ものの探偵もの。ちょっとラブコメも有り。
主人公に謎解きさせるための「事件のための事件」じゃなくて、犯行の裏に時代や舞台背景に絡んだドラマや人生からの必然性というかむしろそっちがメインで、わかりやすく喩えると火サスの犯人の自供シーンでBGM「聖母たちのララバイ」かかってる系のちょっと泣けるまである。もうちょっと美しい喩えが出てこないのがもどかしい。
特に四大寵妃の一人、4巻メインの柘榴宮の淑妃・阿多妃にまつわるエピソードについては背景の事実関係について全ては明らかにされず、AともBともCとも解釈できる余地を残したまま終わるんですが、複雑にカットされた宝石みたいに、見る角度、読者が思いたいAかBかCかの解釈でシーンやセリフの意味が変わって見えて、そのどれもが哀しく美しいの、すごいなあ。出番は多くなかったけど、阿多妃、好きだなあ。
アイデア出オチの一発芸の引き伸ばしみたいな話がほとんどの玉石混合だろうと思って正直ちょっとナメてたんですけど、玉を拾って「なろう」に対する見方が変わってしまいました。原作小説読みます。
それでも「なろう」は見ません。また玉を拾ったら、それはそれで時間泥棒っぽいので。
aqm.hatenablog.jp