#AQM

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#ぼくたちは勉強ができない 14巻 評論(ネタバレ注意)

「ああ そうか
 この人は私のなりたい私だ 私の…なれない私だ」

「人の気持ちに聡くなれれば その分だけ
 自分を好きになれると思っていた それなのに」

「だから私は 私が嫌いだ」

同級生ヒロイン3人+先輩ヒロイン1人+先生ヒロイン1人、受験勉強がテーマ、過去の蓄積に立脚した週刊少年ジャンプの最新鋭の看板ラブコメ。

作者の前作は「ニセコイ」のスピンオフで、「ニセコイ」終盤の展開とその評価を関係者として見ていたはずの人。


表紙の理系ヒロイン・理珠の連続エピソード「機械仕掛の蛍は[x]の淡雪に焦がる」を収録。

他、あしゅみー先輩と終電で寝過ごしてスーパー銭湯、キャラ人気投票の結果発表と1位キャラのスペシャル企画回、冬休みに入る終業式にうるかがお世話になったプールに恩返し、文乃の家でコタツ回、真冬先生の誕生日、みんなで初詣。

受験生の冬休み、いよいよ作品のラストが近い感じ。人気投票1位があまりにもぶっちぎりで、どうするんでしょうねコレ。

と思いそうなところですが、なんとなくこう、見えてくるものがありましたか?


ラブコメの中でも特にハーレムものはラッキースケベ有りのコメディにこそなれ、男主人公を不誠実で傲慢な男にしないための工夫として極度の難聴・鈍感・朴念仁などの属性で恋愛感情をマスクして読者の感情移入を妨げないといけない制約が大きく、またその制約が最終盤にならないと解けず、解けたら解けたで唐突感が強く感情移入しづらく、恋愛ものとしては限界があるんでねえかな、と思ってます。

ついでに言うと選ばれなかったヒロイン担の恨みも買いやすく、終盤の読者からの評価が事故りやすい。

具体的に言うと「ぼく勉」と「五等分」は楽しいラブコメとしてレベルが高いけど、各作品が完結した後の自分の好き度で言ったら「かぐや様」には勝てないよね。

と「かぐや様」信者の私は思ってたんですけど、なんかこう、この漫画は、自分の中で「かぐや様」と同じかそれ以上に好きになるラストを迎える予感が。


基本、ラッキースケベ有りのテンプレ系バカコメの楽しいドタバタラブコメなんですけど、そこにベタながら、まだ何者にもなっていない若者の苦悩や葛藤、それを支える家族・教師・友人たちの真摯な思いやりを優しい視線で差し込み、暗くなりすぎずにポジティブに昇華していて、定義の難しい「青春もの」として必ずしもキャラ人気に頼ってばかりではない、とても読み応えのある巻でした。

コメディとしても猫の話とか「ドタバタした挙句にそこでそんな伏線の回収の仕方すんのかw」という、バカバカしくておしゃれなオチ。なんか三谷幸喜みたいねw

だいぶ気が早いですけど、次回作も既に今から楽しみな。

 

aqm.hatenablog.jp

だいぶネタバレですけど、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はこいつらにあとどれくらい寄りそっていけるのだろう
 泣いても笑ってもきっとそれはもう長くない だから願わくば
 どうかこいつらの往く道が 幸せなものでありますように」

コレさあ、この後ハーレムから誰か1人を選ぶ奴に言わせるセリフじゃないよねえw