



シュタゲのドラマCD「無限遠点のアークライト」、外伝小説3部作「閉時曲線のエピグラフ」「永劫回帰のパンドラ」「無限遠点のアルタイル」とこれを原作にした続編ゲーム「STEINS;GATE0」の実質二度目のコミカライズ。一昨年TVアニメ化もされた。
もともと「無印」が時間跳躍や世界線の移動(過去改変)をテーマとしたSFで、背景状況が頻繁に変更される複雑な話だったけど、「ゼロ」はその傾向がさらに強まり主人公が何もしなくても世界線がどんどん変動していく。特に複数のメディアで作品を踏んだ人間ほど、メディア毎に同じエピソードの少しずつ違う演出や伏線が混線して読むのに苦労する。
一気読みさせる書き下ろし小説や、一気にプレイさせるゲーム、週一で供給されるTVアニメと比べても、連載でコミカライズするには不向きな作品とも言える。
自分は小説とゲームを消化済みだけど、だいぶ以前な上に「ゼロ」は「無印」以上に話が込み入ってるので、もうなんかあんま憶えてない。なので原作への忠実度は正直よくわからんw 答え合わせで見比べるためにゲームを再度プレイするのはボリューム的に重すぎる。
1年2ヶ月ぶりの新刊で2冊同時発売、かつ、完結。
こうしてみると新キャラの比屋定真帆、それ以上に椎名かがりの存在が中途半端な印象がある。コミカライズのせいというより、原作含めた作品自体のコンセプトのせいだけど。
今作も、クライマックスからラストのカタルシスがどうしても弱いんだけど、そもそも「ゼロ」自体の成り立ちが「無印」の最終盤の主人公の挫折と再起の間の話を膨らましたスピンオフ小説なので、「無印」並みのフルサイズの作品の強度を求めるのは無理があるのかもしれない。
コミカライズに責のない話として、作話的には基が良すぎた「無印」の、続編作りの限界も感じる。
シュタゲのスピンオフ漫画は中途半端な終わり方(もしくは終わらな方)をする作品が多い中で、「この漫画もどうせ打ち切りで途中で出なくなるんだろうな」と思っていたけど、もはや作品として旬の時期を外れながらも粘り強く時間をかけて最後まで描ききったコミカライズ作家さんは素晴らしい仕事をされた。
既に消化した物語のコミカライズとして読んだのでアレだけど、この作品自体は初見だったらもっと話題になって大絶賛されただろうなー、と。
リアルタイム性で追うには不利なコミカライズだけど、こうして完結して6冊という比較的読みやすい巻数でパッケージングされると、小説よりゲームよりTVアニメよりも「ゼロ」がどんな作品だったか振り返りやすいメディアで、とても価値のある仕事をされたと思う。
お疲れ様でした。姫乃タカ先生、お名前憶えましたので、次回作も期待してお待ちします。
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