#AQM

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#ギャルごはん 10巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

「やべっちはあたしのコト スキなのに?
 今あたしは気付いちゃった

 ビビんないでよ あたし ちゃんと待てるよ?
 大人なのにそんなコトも分かんないの?

 一緒に幸せになろうよ

 生徒なのに何度も告白してバカみたいって思ってるデショ
 でももう卒業しちゃうんだよ

 毎日会えなくなる こんなにスキなのに…」

高校の家庭科教師(男)・矢部に惚れちゃったギャル・岡崎みくが二人料理部でラブラブクッキングなギャル+料理。

他、サブヒロインに先輩教師(女)と風紀委員美少女の微エロ・微ハーレムラブコメ。タイトルの割りに料理あんましない。

青年誌掲載でギャルと微エロで武装してるけど、ヒロインの内面に描写の比重を置いたストレートな少女漫画。

今巻で完結。奇を衒ったところのない、ベタというより王道、王道というより横綱相撲な、すこぶる付きの大団円なハッピーエンド。

読者サービスも求められる青年誌・ヤングアニマルのラブコメ枠を女性作家が描くということで、ご苦労もあるんじゃないかと思ったんですが、インタビューやあとがき等を見る限りは読者や編集からの要求と自分が描きたいものを両立させて楽しんで描かれたようでなによりでした。

最初はまあ、流行りのギャルものにグルメ要素くっつけて、あとは女の子の方からグイグイ行く、年の差ラブコメのテンプレなぞった漫画だなあという感じ。

ちょいちょいエロで引っ張りつつも、ギャルな美少女が「やべっち好き!彼氏になって!」つって、やべっちが「生徒と付き合うとかありえん!」と返事するのを10冊かけてしつこくしつこく繰り返した漫画。

ただそのテンプレを、丁寧に、とにかく丁寧に、「みくならどう思うか」「やべっちならどう思うか」を本当にしつこいくらいに問いを重ねて描きました、って作者のキャラへの愛情がこもった丁寧さ。

今巻の、サブヒロインの先輩教師の、涙を見せずに泣いているような、年上の先輩教師らしいフラれっぷりも切なくてかっこよかった。

全体的に、作品の明るいイメージに反して女の子が泣いてるシーンがグッとくる漫画ですよね。

「微」とは言えハーレム系ラブコメなんで、未成年に迫られる主人公?の男性教師は必然的に無個性な朴念仁的性格にならざるを得ないんですけど、最終巻の半ばにもなって「卒業した元生徒と付き合うのは…」とか言ってんのマジしつけえwww本当にあなたは青年漫画の主人公ですかwwwという、無個性な朴念仁の役どころに「誠実さ」という節と筋を貫かせたのも良かった。

編集部との間でどういうやりとりで10巻という巻数が決まったのか知りませんけど、ヒロインの高一〜高二の2年間に8.5冊かけて、そこから残り1.5冊でこの展開にもってくのも、必要なリソースを必要なエピソードに、という構成の美が感じられて好きです。

奇抜なことはやらない代わりに描きたいこと・描くべきことから逃げずに、作者である前に作品の一番のファンとして魂込めて描きました、ってのがどストレートに伝わってくる最終巻。やっぱハッピーエンドっていいもんだなー。

次回作にどんなお話を描かれるのかも、とても楽しみ。

 

ギャルごはん 10 (ヤングアニマルコミックス)

ギャルごはん 10 (ヤングアニマルコミックス)

 

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