「これは…懐かしい 人間たち…
こんな所にまだ生きていた!
会えた…! また会えた…!
私を愛してくれた 人間たち…」
大正時代、淡路島の豆狸・通称「まめだ」は、おつかいで訪れた大阪で禁を破って人間を化かす気満々ながら上手くいかない。
化かし損なったボブカットのモダンガールを尾けて行った先は落語の寄席、彼女は狐が人に化け大黒亭文孤を名乗る落語家。言葉で人間を化かすような文孤の落語に魅せられた"まめだ"は押しかけ弟子として文孤のもとで落語家を目指す。
大正浪漫で上方落語なファンタジーコメディ。
前巻の続き、実は弟子を取ることが御法度だった「大黒亭」の弟子と認められるべく、上方落語四天王の文狐以外の3人から承認されるべく試練に挑むまめだ。
白團治に続く2人目は「霧の圓紫」、3人目は「恵比寿家歌緑」。
四天王たちが語る先代「大黒亭」の思い出、文孤との出会い。
回想シーンのだらしなく人間臭く人々に愛されながら多くの足跡を残した先代「大黒亭」がちょっと「FSS」の剣聖カイエンを彷彿とさせたり。
自分は作中であまり変身しないことや作品タイトルなどから「もしかしたら文孤は狐の変化ではなく、本当はただの人間なんじゃないか」と思ってたんですが、回想シーンを見る限りちゃんと狐だったんですね。
時代の流れに傷つき孤独だったところを救われた、クーデレが愛らしい少女時代の文狐と、先代の絆。文狐は先代と、そしてまめだと出会えて良かったね。
いつかまめだも大黒亭を名乗って弟子を取って、同じように文狐のことを思い出す日が…と想像すると、時間の流れの儚さと芸事に託され受け継がれ巡ってゆく思いになんかこう…
「しっぽがない」と言われる「うちの師匠」は果たして誰のことなのか、最終回の絵図をあれこれ想像してしまいますね。
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