北海道、主に札幌を舞台に、カレー屋の店員のフリーターべらんめえ女がしゃべりの面白さを買われて地元局の兼業ラジオDJをやる話。会話芸・セリフ芸の面白さメイン、深夜枠のラジオ番組を舞台に破天荒ヒロイン・ミナレの沙村節トンデモトークが炸裂。
「時代の流れに抗ってラジオの現場に情熱を持ち続ける人々」的なテーマに対し、パワーと素質に溢れるヒロインのミナレがトコトン他人事な感じが初期の桜木花道みたいねw
番組の一環でドキュメンタリーとして引き篭もりニートの社会復帰をメチャクチャなやり方で支援してる途中、2018年9月の北海道胆振東部地震をモチーフにした大地震が発生。
放送空白時間のド深夜の大地震、麻藤は臨時放送のパーソナリティにミナレを指名する。
このコマで言われてることと似たような理由で、前巻ラストの展開とあとがきで「大地震の話をやる」と見たときにまず「ミナレらしくもこの漫画らしくもない、押し付けがましくて説教くさい感動ドキュメンタリーになったら嫌だなあ」と思ったんですけど、お見それしました。めちゃくちゃ面白かったわ。
災害報道こそラジオ局の本分ってのはその通りで、ラジオ漫画としてむしろいつか描かれるべきだろうぐらいに思ってはいたんですが、いざ描かれるとなると「この漫画の本分ではないだろう」「ミナレの仕事ではないだろう」、ぶっちゃけ「つまらない話になるだろう」と思いました。
が、災害報道の緊張感や求められる倫理、「被災者に寄り添いつつ早く日常を回復する」というジレンマを描きつつも、この漫画本来の持ち味のテンポの良い不謹慎さを描くこともきっちり両立させて、ミナレの才能(特異性?)も引き立たせて。
麻藤のラジオ人としてのバランス感覚、中原くんの引き籠りへのフォロー、瑞穂の魏延の絵、新キャラの胡散臭いイギリス人など、周辺を固めるキャラの描写も良かった。
ついでに仕掛かり中だった引き籠り説得大作戦も説得力をもって片付けるミラクル展開。
余談だけど、流れで見ないと意味わかんないでしょうけど、このコマ夜中にベッドの中で思い出し笑いするぐらいクッソワロタ。
ボウッてwww
瑞穂も信頼するミナレの高い倫理性というかわかりづらい優しさと、最低な不謹慎さの一見矛盾して見える人間性を端的に表す良いエピソードで、しかもめっちゃ笑えた。
めちゃくちゃ面白かった。次巻もすんげー楽しみにしてます。
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