14歳の少女・一花は祖母の葬式で出会った同じ年頃の金髪のとても美しい少女・アリアに一目で心を奪われる。アリアは不思議な眼の力で周囲の人間の疑問を霧散させて屋敷に居着き、一花と共に探し物をし、また一花の首筋から血を吸った。アリアはようやく見つけた探し物、一振りの短剣を鞘から抜いて一花に差し出し、「わたしを殺してくれ。」と依頼する。
百合で同居なガール・ミーツ・吸血鬼ガール。永遠の生命を持つ吸血鬼の悲哀を伺わせる描写こそあれ、平行して次第に一花の周囲に増えていく、吸血鬼の仲間たち。なんかオバケのQ太郎みたい。
今巻はエピソードゼロとでもいうべき、一花の祖母とアリアの出会いと交わりに関わる過去編。
吸血鬼ものは往々にして耽美ですけど時代不詳ながら戦前ですかねコレ。
わずか単行本半冊分ながら、不死者と人の交わりの悲哀がこもった、印象的で美しいエピソード。
その前のエピソードの「幼馴染」から地味にキーワードで連続してるんですねコレ。
「かつてあったことは、これからもあり。
かつて起こったことは、これからも起こる。」
いろんな意味で悲しい言葉。
そうであるなら「かつて起こらなかったことは、これからも起こらない。」ことを想起させて、悲しい最期を予感させます。
この5巻を読んだ後に1巻を読むと細かいディティールが繋がっていて、ちょっと「おお」ってなります。ベアトリス!
aqm.hatenablog.jp