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#ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 18巻 評論(ネタバレ注意)

架空の自治体、岡島県・町山市が舞台、岡島県警 町山警察署 町山交番に配属された新人女性警察官・川合麻依と、彼女を取り巻く町山警察署の先輩・上司の警察官たちが織りなす、警察官お仕事漫画。

元警察官が描き、「パトレイバー」「踊る大捜査線」の香りのするギャグコメディに溢れた日常要素と、生々しくダークネスな事件や人間の側面が同居する奇妙な作品。

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「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」18巻より(泰三子/講談社)

今一番面白い漫画の一つじゃないかなと思います。自分は好きすぎて連載の有料のWEB掲載を毎話、毎週木曜日0時に即読みしてます。「現役漫画家で天才を3人挙げろ」と言われたら、自分は1人はこの人を挙げます。

7月からTVドラマやってて、新型コロナで撮影大変なんでしたっけか。

今巻はいわゆる長編エピソードにあたらない「小ネタ巻」ですが、前巻というか番外編の中編エピソード「アンボックス」を契機に、今巻からレギュラーメンバーが一部入れ替わっています。

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「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」18巻より(泰三子/講談社)

さて。

自分はこうして漫画の感想を書いているんですが、作品未読の人向けに、著作権法32条1項で引用について定めるとおり、「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」であるように表現することを念頭に、要約・抜粋した形で作品のあらすじを紹介したり、作品の雰囲気を伝える画像を引用することが多々あります。

最悪の想定、権利者に訴えられることがあっても、「引用の範囲」と抗告できるよう努めていますが、裁判になった時点で手間や時間を考えると負けも同然なので、権利者(作者・出版社)の弁護士や法務部に「訴え甲斐がない」と思わせること、そもそもそこに至るまで権利者を怒らせないことが重要になります。

で、どうするかというと、基本的に好意的な評論で作品を紹介し、「敵対するつもりはないですよ」「権利者の利益を損ねるほどのネタバレはしませんよ」「共存共栄ですよ」と遠回しにアピールします。

できれば公式アカウントから「いいね!」されたりする関係が理想です。

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ちなみに各作品の権利者及び正式な代理人以外の方の意見にはあんまり興味がなく、そうした方々との議論に自分の時間を費やすつもりはありません。

「駄作でも嘘を混じえて無理に褒めているのか」という話なんですが、駄作と思った作品、褒めようがない作品についてはそもそも記事にしません。

批判的に作品を批評する意義、つまらない作品を「つまらない」と評して消費者への警鐘や作家への改善要望とする意義は私も認めるところですが、創った人たち・ファンの人たちを向こうに回して炎上のリスクを背負って作品を批判するメリットが、少なくとも私の立場では、いわゆる「炎上狙い」以外には存在しないからです。

というわけで、このブログは面白くない漫画について「面白い」と嘘をつくこともなく(漫画の好みが合わない方は、すみません)、自分が好きな作品だけを基本的に褒め、出版社に怒られたこともなく、ここまでは平和にやれています。

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「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」18巻より(泰三子/講談社)

「ハコヅメ」の今巻、「小ネタ巻」というかコメディ中心の基本的には楽しい巻ですが、どこか自分のブログに通じる「なにかに気を遣っている」感を感じます。

作者が成長し人気を博しTVドラマ化されるほどメジャーになり注目を浴びる立場になった結果、もともとそういう傾向はあったものの、より「警察広報が伝えたいこと」「警察行政に資すること」「警察行政との共存共栄」を意識した方向に、わずかに、角度で言うと2度くらい、少し軌道修正したような印象を感じました。

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「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」18巻より(泰三子/講談社)

2度て。ほとんど一緒やん。

今のところそれが作品の面白さを損ねているようには感じませんが、例えば私が「つまんない漫画を思いっきり批判して『金返せ!』って書きたい!」と思うように、作者が「自分の出身組織で得た知識を活かして漫画を描くこと」に窮屈さやある種の後ろめたさを感じる日が来るのかもしれないな、と思います。

「元ネタに『かいていいですか?』と直接訊くことができないまま『共存共栄を前提に黙認されている』のを自覚している者の、ある種の遠慮と使命感」とでもいうか。

また「アンボックス」(時期が悪くてまだ感想を書いていません)でカナが感じた、「現場で頑張る仲間を残して自分はドロップアウトした」という実感は、おそらく作者も他人事ではないように感じました。

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「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」18巻より(泰三子/講談社)

簡単に言うと、「警察もの」を描くこと・描けることはこの作家の武器である反面、枷でもあるんじゃないかと。

人気も面白さも絶頂期ですが、この作品自体は意外と遠くない将来に思ったより早く完結したりして、と思ったり。

わずかなその他の短編作品(原作担当)を読んだだけの人間がテキトーで無責任なことを言いますが、この作家はたぶん経験・職歴を元にした「警察お仕事もの」以外でも、十分面白い漫画を描き続けられるだろうと思います。

 

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