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#クマ撃ちの女 6巻 評論(ネタバレ注意)

熊狙いのライフル持ち*1女性猟師・チアキ(31)に密着取材を申し込むフリーライター・伊藤。2人は熊を求めて日々、北海道の山中に入る。

伊藤が取材を始めて最初の猟期が終わり、一旦シーズンブレイク。チアキを取材した伊藤の著書が出版され、それに伴ってチアキ自身もメディアに取材されたりもありつつ、二度目の猟期に。

新しいシーズン、チアキは飼い始めた狩猟犬・ワンを用いたクマ狩りにチャレンジ。2回目の入山で、ワンがクマの痕跡を発見。新コンビによる初のクマ狩りは…

という前巻の続きから。

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「クマ撃ちの女」6巻より(安島薮太/新潮社)

「チアキvsクマ」が2シーズン目に入って「チアキ+狩猟犬 vs クマ」になってちょっと目先が変わりました。

犬の描かれ方がチアキ目線なせいで、可愛くないバカ犬気味だけど徐々に意外と素質ありそう? みたいな「カワイクナイ可愛い」系で、読んでてとにかく犬が心配w

1年目(+それ以前)で経験を積んだチアキがピンチに陥るのはよっぽどですけど、犬はお調子者気味なのでとにかく犬が心配で続きを読む感じ。

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「クマ撃ちの女」6巻より(安島薮太/新潮社)

後半は、クマ狩り漁師志望の意識高い系女子大生、メディアに取り上げられたチアキに対する嫉視で?巻狩りで邪険に扱うベテラン猟師たちなど。

ここまでで猟師として経験を積んで成長しつつあるチアキ・伊藤と視点が同化した読者から見ると、「ざまぁ」的な俗っぽい「なろう」展開で、まあ楽しいんですけど。

チアキの師匠筋の初老の猟師以外、中堅〜若手の猟師は割りと俗っぽく描かれていて、猟のリアル・猟師のリアルを読者に感じさせようという作品なのかな、と思います。

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「クマ撃ちの女」6巻より(安島薮太/新潮社)

そんな中、やっぱりチアキは未だに浮いてんですよね。

おそらく

「猟のリアルを読ませたい」

→「主人公がおっさんより若い女の方がキャッチーだろう」

→「タイトルにもインパクトを出そう」

というメタな機序で、「女だてらに」ほとんどの男もやらないような単身でのクマ猟に勤しむことになったヒロイン。

キツくて危険な割りに収入が良いわけでもなく、ただ「クマを撃ち殺したい」というシンプルで理解不能な動機で作品を引っ張っています。

現実的に異常ですけど、作中でも異端扱いなんですよね。

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「クマ撃ちの女」6巻より(安島薮太/新潮社)

彼女の異常性は物語の流れ的には、幼少期に姉妹でクマに襲われたトラウマの反動や復讐心、クマに対する恐怖を超克するために「クマの生殺与奪を握る存在でありたい」という心理が彼女をそうさせている、と一応説明はつくんですけど、

「はて、何がどうなったらこの作品は本懐を遂げて完結するんだろうか」

というビジョンがちょっと浮かばず、予想がつきません。

「チアキが日本のクマを絶滅させたEND」はないと思いますし。「日々は続いていくEND」かしらん。

そもそも作者がチアキの「心の闇」的な何かに興味があるのか、そんな話面白いのか、読みたいか、って話なんですけど。チアキの生命に対する向き合い方が一皮向ける萌芽も見て取れます。

とりあえずは、チアキを見下す中堅の男猟師どもに早く吠え面かかせて欲しいのと、やっぱ犬が心配です。

大丈夫かあのバカ犬。

 

 

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*1:猟銃免許取得後、散弾銃所持10年以上が必要