

白石のくせに、なにカッコつけてだ!
明治40年前後の北海道が舞台。日露戦争の二〇三高地で超人的な活躍をして「不死身の杉元」と呼ばれたけど上官半殺しにしてクビになった元軍人とアイヌの少女・アシリパのコンビを主人公に、網走監獄の囚人たちの刺青に刻まれたアイヌの隠し大金塊の地図を巡る血生臭い冒険もの。
金塊を争う勢力は
①土方歳三一派
②鶴見中尉一派
③杉元・アシリパ一派
④海賊房太郎一派
⑤ソフィア一派
ですが、同盟などで段々と二極化に近づいていて、最終決戦・完結も遠くなさそうな塩梅です。これ的なこと毎回言ってんな。
札幌で活動する2人の無差別殺人者(うち一人は刺青持ち)を巡って全ての勢力が札幌に集結。
切り裂きジャックらを巡るサッポロビール工場の戦いが終結、そのドサクサで鶴見中尉一派が再びアシリパの身柄を拉致。

「ゴールデンカムイ」27巻より(野田サトル/集英社)
今巻はアシリパの救出・奪還を図る杉元らをよそに、鶴見中尉が直々に金塊の隠し場所をめぐる暗号についてアシリパを尋問。
杉元も言及したとおり、鶴見中尉の尋問はいわゆる拷問などではなく、過去に起こった事実を淡々と解き明かしてみせることだった。それが、それだけがアシリパの罪の意識を喚起し、金塊を巡って戦う心を折るのに十分だと分かった上で…

「ゴールデンカムイ」27巻より(野田サトル/集英社)
という、エピソードゼロとでも言うか、この作品がこう形作られた元凶と核心について鶴見の口から語られる凄惨な過去回想回、種明かし回。
なるほど、なるほど…なるほど…
そしてタイトル回収。

「ゴールデンカムイ」27巻より(野田サトル/集英社)
鶴見の尋問、というか説得に近いですけど、アシリパに対してとても説得力というか誘導する力があるんですが、アシリパが、ひいては作者が、どういう理路で彼に対抗し超克するのか見ものですね。

「ゴールデンカムイ」27巻より(野田サトル/集英社)
エピソードゼロをやっちゃったらもう、あとは杉元とアシリパがそれをどう乗り越えるか、鶴見とどう決着をつけるか、に向けて本筋は一直線かしらん。
サイドエピソードというか脇役が多くその一人一人の背景を分厚く描くたちで、因縁含みで未決着の人間関係も多く残されているので、本筋だけを走るわけにはいかなそうですが。

「ゴールデンカムイ」27巻より(野田サトル/集英社)
主人公たちもこんな調子ですしw
aqm.hatenablog.jp