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#ヴァンピアーズ 6巻 評論(ネタバレ注意)

14歳の少女・一花は祖母の葬式で出会った同じ年頃の金髪のとても美しい少女・アリアに一目で心を奪われる。

アリアは不思議な眼の力で周囲の人間の疑問を霧散させて屋敷に居着き、一花と共に探し物をし、また一花の首筋から血を吸った。

アリアはようやく見つけた探し物、一振りの短剣を鞘から抜いて一花に差し出し、「わたしを殺してくれ。」と依頼する。

ド吸血鬼でド百合で耽美な漫画です。

半分は同居百合な日常、もう半分は宝剣とアリアの自殺願望を巡るシリアス展開という感じで、シリアス展開が焦らしたりスカしたり(敵かと思ったらそうでもなかった的な)と割りとモタモタした進行だったんですが、

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「ヴァンピアーズ」6巻より(アキリ/小学館)

今巻で一花が悪役に明確な敵意と悪意をもって拉致されその救出が描かれるなど、比較的大きく進展しました。

その上でカラとシャーディの過去回想なども。

吸血鬼を含む不老不死というテーマは漫画においても定番なんですけど、彼ら吸血鬼は往々にして孤独で長すぎる時間に退屈していて、眷属を増やしてその孤独を埋めたり、あるいは自殺願望があることも珍しくはないんですけど、近年の漫画作品は何かこう、

「人間の血を吸って(あるいは人間に血を与えて)吸血鬼化することを躊躇する吸血鬼」、

増えましたね。

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「ヴァンピアーズ」6巻より(アキリ/小学館)

自分は猫が大好きなんですけど、人生で一度も飼ったことなくて、今だって転勤族の独身なので十分に世話をしてやれる自信がないし、猫より長生きできる保証もないので、無責任に飼えないなーと思ってて、多分この先も飼うこともないと思います。

一緒にしてはいけないけど、結婚しないのとか彼女作らないのとかもそんな感じで、アッチ系の人から見たらいわゆる「草食」にあたるんでしょうけど。

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「ヴァンピアーズ」6巻より(アキリ/小学館)

人としての生を全うしたであろう人間を「吸血鬼」という不幸や孤独や退屈に巻き込みたくない、というフィクションの中の吸血鬼は(フィクションの中にしかいません)、割りと繊細で臆病で義理堅く、それ故に何度もこうして物語のモチーフとして描かれるんだろうなと思います。

「イケイケー、吸っちゃえ吸っちゃえー、永遠の恋人GETでハッピーエンドだイェーイ!」

みたいな吸血鬼の主人公、逆に滅多に見ないよね。

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「ヴァンピアーズ」6巻より(アキリ/小学館)

往々にして永遠の恋人GETハッピーエンドより、追憶を抱えたビターな別離エンドの方が美しく映えるものですが、この漫画は最後どうするんだろうか。

 

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