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#シメジ シミュレーション 3巻 評論(ネタバレ注意)

中一で学校が嫌になり、科学者?の姉と二人暮らしの団地の押入れに引きこもっていたら頭からシメジが生えてきた月島しじまは、一念発起して押入れを出て受験して高校に通うことにした。

高校では読書をして他人との交わりを持たないつもりだったが、頭に目玉焼きを乗せたメガネっ子の山下まじめがグイグイくるので、友達になる。

2人は穴掘り部に入部したり、美術の授業を受けたり、ファミレスに行ったり、頭のシメジが増えたり、学校をサボったり、お泊まり会をしたり、姉の作ったおかしな機械でおかしな夢を見たりする。

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「シメジ シミュレーション」3巻より(つくみず/KADOKAWA)

「少女終末旅行」のつくみず先生の現作は、女子高生2人の少し不思議なんかファンタジーなダルくてユルくてアンニュイな不条理日常4コマ。

4コマ漫画ですが、半分ギャグコメディ、半分は詩という感じ。

今巻も学校に行ったら校舎が横倒しに屹立していたり、真夏の翌日に真冬の大雪が降ったり、頭に浮かんだ文字や物体が具現化されたり、水の塊が宙をふわふわ漂ったりと、どこかサイケデリック(モノクロですが)で非日常な不思議なことがたくさん起こりますが、彼女たちはあくまで「今日の非日常」として受け入れて困ったり楽しんだりしながら日常を過ごします。

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「シメジ シミュレーション」3巻より(つくみず/KADOKAWA)

ちょうど、我々が夢の中の理不尽な世界観設定に困ったりしつつも、なんとかしようとするのに似ています。自分は低空ギリギリを飛び続ける夢、大ジャンプで100mぐらい飛び上がる夢、殴り合いでパンチが相手に全然ダメージを与えられなくて焦る夢などをよく見ます。

今巻で印象に残ったのは、不思議なことばかりが起こる幻のような世界において、彼女たちが目に見えるものや意味を持つ言葉よりも、人肌の暖かさや、意味を為さない言葉や音の連なりなどの、より原初的な感覚に信用と実在を置いている点です。

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「シメジ シミュレーション」3巻より(つくみず/KADOKAWA)

作詞の話、面白かったなあ。井上陽水みたいですね。

今巻では、世界をハックして不思議を起こす者と、世界をあるべき姿に戻そうとする者の対立が描かれ、その余波でこの作品世界がこうある理由のようなものが語られます。

今巻末まで読んで、自分は「よつばと!」12巻を読み終わった時のように、てっきりこの作品が完結したんだと早とちりをしたんですが、AmazonレビューやWikipedia、それに連載情報をざっと見た限りこの作品はまだ完結していないようです。

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「シメジ シミュレーション」3巻より(つくみず/KADOKAWA)

今巻の展開と、未だ完結していないことを考える上で、原点に戻って「シメジ シミュレーション」という作品タイトルがどういう意味を持つのか、あれこれ考えてみています。一番大事な情報で、最大の伏線であるような気がします。

あとは、なぜチトとユーリが毎巻必ずカメオ出演しているのか、なども。

 

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