
現代、ただし頻繁に怪獣に襲来され「怪獣大国」となった日本。「防衛隊」が組織され、襲来の都度、怪獣を討伐することで社会が保たれていた。
かつての防衛隊志望に挫折した怪獣死体処理清掃業者・日比野カフカ(33♂)は、防衛隊志望の後輩に触発され再び入隊試験受験を決意するものの、いろいろあって人間サイズの怪獣に変身する体質となってしまう。

「怪獣8号」6巻より(松本直也/集英社)
目撃情報から防衛隊に「怪獣8号」として指名手配されたまま、怪獣変身体質を隠したカフカの防衛隊入隊受験が始まった。
という、「SF」でいんだよねこれ。「バトル」もつけていいんかしら。という王道変身ヒーローもの。
作品コンセプトとして他とは毛色の違う「ディザスター(災害)もの」として期待した向きには、結局「普通のジャンプバトルもの」に落ち着いちゃったな、ってのはあります。

「怪獣8号」6巻より(松本直也/集英社)
じゃあ見方を変えてバトルものとして、と見てみると、見開きの大ゴマを多用しつつ主人公たちが葛藤を乗り越えたり、あるいは覚醒したり、あるいは真の力を解放したりと、ページ単位・シーン単位ではかっこいいシーンの連続で見どころ満載。
唯一?にして最大の欠点はカタルシス不順で、錚々たる強キャラ・新キャラたちが見開きで大見得切って必殺技を繰り出し続けても、一人で悪役を貼り続けて孤軍奮闘し続ける怪獣9号をいつまでたっても全然倒せないこと。

「怪獣8号」6巻より(松本直也/集英社)
なんつーかあの、RPGゲームとかで魔法でしか倒せない不死身の相手に延々とMP全消費の物理攻撃奥義を無策に撃ち続けるのを見せられ続けているような。
描写が大仰でかっこいいほど「どうせ効かないんですよね」と、ちょっと虚しい。

「怪獣8号」6巻より(松本直也/集英社)
ストーリーとしてはここのところずっと
「9号が襲ってくる」→「倒せないけど撃退する」→「新キャラ登場」→「9号が襲ってくる」→以下ループ
を繰り返していて、延々倒せない9号を倒した後のビジョンも見えず、「他の引き出しがないんじゃないか」と読んでてちょっと不安になります。
次巻で新展開とも聞くので、バトル描写はいいもん持ってるだけに、期待もしつつ。
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