表紙の右の男は頬に円形の風穴が開いていて奥歯と歯茎が丸見え。
この作者はこの手のディティールが大好きで、自分はこの手のディティールが大の苦手なんですが、なんでか視線が吸い寄せられてしまうのはなんなんでしょうか。
作者の名前でググると見当たるとおり業の深い嗜好への強い執着が見られる作家です。
商業作品を描くにあたってがんばって癖(へき)を薄めてはいますが、ハートにバリアをかけながら読まないと、影響を受けてこっちの性癖が変わってしまいそうで警戒してしまうw
銀河の端、連邦の末端である地球には、常に連邦法に違反した宇宙人が入星していて、女子高生のラインとアンは入星管理局の局員として違法入星した宇宙人を日々取り締まっている。
あらすじ見るとJKバトル版「メン・イン・ブラック」、もしくはSF版「逮捕しちゃうぞ」、表紙を見ると少年漫画然としたバディSFバトルものに見えますけど、自分は1巻を読んで「士郎正宗の正統後継のような漫画だ」と思いました。1冊読むのに3時間かけるぐらいのつもりで気合い入れて読みましょう!
と、思ってたんですが、初見が難解だった1巻を何度も何度も熟読したせいか、「攻殻機動隊SAC」のスタンドアローン・エピソードのように比較的短いエピソード群だったためか、
2巻、そしてこの3巻はだいぶすんなり読めて普通に楽しめました。
情報量が多いので一見難解な漫画のように見えますが、むやみに難解さで煙に巻いてカッコつけようとしてる漫画ではなく、むしろ商業作品であることを意識して丁寧に読めば理解できるように、だいぶ歩み寄ってわかりやすくしてくれてる感があります。
省略の美、説明不足の美が生み出すテンポの良さやプロっぽいカッコ良さ、察する快感は相変わらずなんですが。
地球人の姿に擬態して暮らす宇宙人に対する連続猟奇殺害事件が発生。被害者の死体は十字架に磔にされていた。
入星管理局のエージェント、アーノルドとケネスは警察から捜査権を引き継ぎ、さっそく犯人と接触するが…
地球人の、宇宙人に対する極右的な排外主義に傾倒する少年が描写され、このご時世いかにも示唆的ですが、その裏には…というのがまた示唆的な。
巻の後半は打って変わってヒャッハーなキャノンボール展開。
宇宙ギャングたちの非合法ドラッグレースの、ラインとアンによる取り締まり現場に、非合法に飼育されたスカイフィッシュの逃亡がバッティング。
日本円にして100億円の懸賞金を掛けられたスカイフィッシュを追い回す宇宙ギャングの目の前に、伝説の幻のレース・チャンピオンが再び現れる…
という、ハチャメチャでハイスピードなハイテンション展開。
つーかお前ら、レースするなら狭い東京の地表でやってねえで、宇宙でやんなさいよwww なんのための宇宙人なんだよwww
1巻の複雑難解さが、巻を追うごとにシンプルでわかりやすく、そしてヒロイン・バディの影が薄くなっていきます。
作品の本質がブレているというより、脇役・モブ・世界観含めて未だ顔見せ段階っぽい雰囲気。
つ・づ・き! つ・づ・き!
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