母は子どもの頃に蒸発、父は難病、飼い猫は癌、本人は薬物中毒の男の人生の風景。
その男との友人付き合いで生活費を援助していた夜職の女のそれから。
いじめられ自殺したクラスメイトを見殺しにし遺書で名指しで恨まれた少年。
その少年に故人の恨みを伝えた少女の壊れた青春と兄と彼氏。
彼らのその後、別れ、戻らない青春、降りしきる雪。
という、5編の連作短編を収録した玉置勉強の短編集。
家庭不和、難病、ペットの死、中毒、死、いじめ、貧困、レイプ、メンタルヘルス、毒親、セックス、事故と障害、逃避、別れ、追憶、雪、などが彩る彼らの散文的な人生の断片。
散文的で淡々としていながら憂鬱でどこか私小説めいた感傷を抱かせる作品。
暗くて重くて無常、いかにもセールスも伸びなさそうな漫画ですけど、自分は割りと好きみたいです。
漫画のようには愛し合えなかった彼らの愛の話。の漫画。
「時間が解決してくれる」、「死が終わらせてくれる」、巻き戻せない取り戻せない残酷さゆえに、時間と死は同時に救済でもあるという矛盾。
戻れなさによって解放されてホッとした瞬間があったって、上手に愛し合うことができなかったからって、だからといって愛してなかったわけじゃないんだよね。
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