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#わざと見せてる? 加茂井さん。 7巻 評論(ネタバレ注意)

実録ガチ系の下ネタ・風俗ネタ・ドMネタ、お下劣でやたら面白い怪作 、「エムさん。」の作者。無駄に女の子が可愛く「ヒロイン立ててストーリーもの描いてくんないかな」と思ってたら、カースト「下の中」の漫画オタクの男子中学生と、カースト上位でスカート短い美少女ギャルの、王道の隣の席ラブコメ。やったぜ!

「わざと見せてる? 加茂井さん。」7巻より(エム。/双葉社)

作品としては「中学生の未満恋愛」の同じセグメントに「僕の心のヤバイやつ」という超強力な作品があって、その陰に隠れている感じはあります。開始時期も同時期で巻数も近く、また作者がラブコメ畑の外から参入してきたあたりも似ていて、桜井のりおとはまた違った意味で従来のラブコメにない切り口や視点が提示されて、自分もとても期待している作品。

「僕ヤバ」と比べるとヒロインをもうちょいエッチに、主人公をもうちょいキモくした感じです。

陰キャな青春を過ごした作者が陰キャな少年を主人公に飛び切りの美少女との恋愛未満を妄想で付け加えて描くという、外形的に大きな共通点があるんですけど、今巻を読んでそれ以上に「あー、青春時代の後悔をずっと大切に抱えている作者なんだな」と強く感じて、だからこそ同じように後悔を抱えている自分はこの作品にも惹かれるんだろうなー、と思います。

「わざと見せてる? 加茂井さん。」7巻より(エム。/双葉社)

そして青春時代の後悔って誰でも多かれ少なかれ抱えてるもんなんですよね。黒歴史なんで、普段は忘れているか、忘れたふりをしてすごしているんですけど。

「僕ヤバ」が青春の甘いファンタジーのデジャヴだとしたら、この作品はやっぱりどこかダークというか、陰キャな青春に妄想上のヒロインを放り込んでもフィクションでやり直しても、後悔は形を変えただけで結局存在していることは変わらない、苦い何か。

「わざと見せてる? 加茂井さん。」7巻より(エム。/双葉社)

あとがきで作者の友人が指摘する通り、メジャーな作品とは言い難いかもしれませんが、新刊が出ると熱心なファンが毎回、少ない感想ブログ記事を求めてうちのブログにも毎回アクセスしてくれる作品。

自分はラブコメ漫画が好きでたくさん読んでいるジャンルですが、決して洗練された作品ではありません。

なんというか流行の「ギャルとオタク」を取り入れてパンチラエロで一目を引く、一見して「売らんかな」なラブコメでありながら、どこか「ラブコメの勝利の方程式」に背を向けちゃってる漫画。

「わざと見せてる? 加茂井さん。」7巻より(エム。/双葉社)

お約束のテンプレ展開のがスマートに進むところを、愚直に丁寧に作者自らの青春時代を回顧して、それをエンタメに落とすことをやめようとしない、そのせいで展開が冗長だったりカタルシスに欠けていたりするんですけど、その不器用さ、キャラの一人を一人を「青春時代のただ中にいる人間」として愚直に描こうとする姿勢が、正に青春時代の凸凹を想起させてたまらなく愛おしい作品。

不器用な初対面描写、クラス替えの不安と期待が入り混じる空気感の再現とかね、もう最高。

そう、主人公たちが3年に進級、クラス替えに伴って新キャラも大量に登場して、私の苦手な「ラブコメの青春群像劇化」に匂いが強くしてきましたが、「描きたいテーマがあるからこそキャラを配置しているこの作者であれば」と期待してしまいます。

「わざと見せてる? 加茂井さん。」7巻より(エム。/双葉社)

主人公の成長、恋愛要素、「あすなろ」要素、群像劇要素、よくある「隣の席ラブコメ」として始まった漫画がランキングの埒外で青春ものとして花開く寸前まで来てる、という予感は気のせいではないと自分は思うんですが。

 

 

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