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#らーめん再遊記 5巻 評論(ネタバレ注意)

「ラーメン発見伝」の続編の「らーめん才遊記」の更に続編の現作。

シリーズ未読の方にものすごく雑に説明すると「ラーメン版『美味しんぼ』」みたいな作品群。

脱サラして開業したラーメン店が苦節を乗り越えて成功し事業を拡張、ラーメン店向けに始めたコンサル業も順調、メディアにも露出しラーメン産業を盛り上げてきた立役者の一人と認められ、職人・経営者としてラーメン業界を代表する第一人者となった芹沢。

『らーめん再遊記』5巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

ラーメン業界の世代交代と新たな時代の到来を前に、なぜか芹沢はやる気が出なかった…

雑に説明すると、自らの原点に立ち返った王が、自ら育てた天才児にその玉座を禅譲し、自らは放浪の旅に出る、的なそういう話です。そういう話をラーメン業界で。

『らーめん再遊記』5巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

職人・経営者のトップとしてラーメン業界の頂点に立ちそこから降りた主人公が、身分(?)を隠して大手チェーンのラーメン屋にバイトとして潜り込んで店舗内の若手のいざこざに首を突っ込んでみたり、山の頂上から見下ろしていたラーメン業界の裾野を歩いて回る話。

前巻以来の「背脂チャッチャ」系をテーマに、芹沢とかつての因縁の商売敵ならぬ「因縁の敵」とのクズすぎる過去と、新進のラーメン評論ユーチューバーを絡めて。

『らーめん再遊記』5巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

ひょんなことから、過去の因縁の敵の、今は閑古鳥が鳴いているラーメン屋を陰ながらコンサルするハメになったハゲ。ハゲの起死回生の一手とは。とエピソード完結まで。

いつも単刀直入に「正解」を打ち出してきたハゲの思考が試行錯誤する様を、うんちくを含めて面白くよませます。「枠(こだわり)に囚われない発想の転換」がキーになる解決案ですが、それはそれとして、俺食ったことあるわコレ。美味しかった。

ラーメン評論におけるユーチューバーの台頭、というテーマを取り込んでみせたのは、世情を見ると決して早くはないんですけど、

『らーめん再遊記』5巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

無視し続けることなくちゃんと取り込んで、ブロガーの時代よりも更に大きく一桁二桁大きい利害が絡む世界であることを警告することも含めて。

最近は大人になったというか、達観して枯淡の境地であるかのように描かれますけど、ハゲ基本的にクズだしラーメン業界のみならずフリークも批判してきた人だし、作者もそれを「忘れてないよ!」とばかりにちょいちょいクズエピソードを挿れてくるのが良いですよねw

次に始まったエピソード続きが気になるんですけど、連載読んでないけどコレ、「気のせい」「雰囲気」「思い込み」「もともとそうだった」的なオチなんじゃねえかなコレ…

それにしても、

『らーめん再遊記』5巻より(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)

BL妄想癖のあるホテルのフロントの女性を通して描かれる、突然の珍妙な美少年趣味は一体なんなのか…

 

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