現代、ただし頻繁に怪獣に襲来され「怪獣大国」となった日本。「防衛隊」が組織され、襲来の都度、怪獣を討伐することで社会が保たれていた。
かつての防衛隊志望に挫折した怪獣死体処理清掃業者・日比野カフカ(33♂)は、防衛隊志望の後輩に触発され再び入隊試験受験を決意するものの、いろいろあって人間サイズの怪獣に変身する体質となってしまう。
目撃情報から防衛隊に「怪獣8号」として指名手配されたまま、怪獣変身体質を隠したカフカの防衛隊入隊受験が始まった。
という、「SF」でいんだよねこれ。「バトル」もつけていいんかしら。という王道変身ヒーローもの。
作品コンセプトとして他とは毛色の違う「ディザスター(災害)もの」として期待した向きには、結局「普通のジャンプバトルもの」に落ち着いちゃったな、ってのはあります。
今巻は前半2/3ぐらいを、序盤で主人公の相棒ポジション、その後「怪獣6号」細胞の移植で強化されたレノの試験戦闘を、強さを彼にぶち抜かれた若手隊員・古橋と、彼らの隊長の視点で。
古橋は、天才エリートと共に戦い彼を孤独に陥らせまいとする「凡人代表」の「ポップ(ダイ大)」枠で、隊長は言うなれば「過去にダイを死なせたポップ」枠。
一冊の大半を使うページ数の多いエピソードで、丁寧と捉えるか、冗長と捉えるかで評価が分かれそう。
大ゴマ中心に絵で見せて、セリフも繰り返しで強調する、ページ数の割りとゆっくりした情報量の少ない展開で、同日発売の『HUNTER×HUNTER』と比べるとセリフ・モノローグの量はたぶん1/10以下で、同じブランドのバトル漫画同士とは思えない両極端さw
比較の対象がアレですけど『HUNTER×HUNTER』よりは少年漫画らしい気はしつつも、
同時に「昔ポップだったおっさん」のエモい述懐でおじさん読者を殺しにきてて、今の少年漫画読者層の複雑さを象徴してるみたいですね。
後半1/3は主人公と糸目の副隊長の特訓編。
糸目の副隊長・保科の訓令がどこか暗示的と言うか、逆に9号がラスボスであることを感じさせるというのと、
まるで「その時に自分はもう居ない」と思っている、遺言のようですね。
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